オーディオの足跡

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C-10の画像
 解説 

スーパーアルティメイトアッテネーターを搭載したコントロールアンプ。

ボリュームには、58接点4連構成のアッテネーターであるスーパーアルティメイトアッテネーターを搭載しています。
このアッテネーターでは、58ポイントの固定音量をそれぞれ独立した抵抗分圧回路で設定し、超大型高精度ロータリー接点によって切換えています。これにより各音量の設定は全て常時2個の抵抗のみ(0dBと-∞ポジションは1個)で構成され、他の抵抗は完全に切り離されます。これをバランス回路にするため4連構成とし、厳選された456個に及ぶ高精度固定抵抗を超大型ロータリー接点の一つ一つにディスクリート構成でマウントしています。このスーパーアルティメイトアッテネーターによってボリューム部での信号減衰を最小限に抑えています。
なお、スーパーアルティメイトアッテネーターでは、レベルをコントロールする際に音楽波形が操作と同期してクリック的に聞こえることがあります。これは、アッテネーターの原理上ステップアップもしくはステップダウンするタイミングによって階段状の波形となることによるものです。

C-10にはバランス構成のCSSC(Complementary Single Stagger Circuit)回路を採用しています。
CSSC回路は全段直結ピュアコンプリメンタリー構成のシングルスタガーサーキットです。この回路の初段はトランジスタ/コンプリメンタリー回路による電圧増幅段で構成されています。一般の回路が積極的な位相補正を必要とするのに対し、CSSCでは2段目のカットオフ周波数が充分に高く、最小限度の補正で安定した動作を実現するため、萎縮度の無い自然な解放感と音場感を得ています。
出力段は2段ダーリントン接続のコンプリメンタリー・エミッターフォロア回路の採用により、充分に低い送り出しインピーダンスを確保しています。
C-10はこのCSSC回路を2つ組み合わせた完全バランスのコンプリメンタリー・シングル・スタガー・サーキット構成を採用しています。また、バランス構成で絶対条件となる増幅基準点についても、アース電位差を完全に解消し基準点を明確にしたCSSC回路によって得ており、完全バランスアンプを実現しています。2つのアンプブロックを同一条件で駆動させることで基準点に起因する電位差や時間軸での位相差の問題も解消しています。

CSSC回路への入力部にはコンプリメンタリー構成のバッファーアンプが挿入されています。
この回路の初段にはローノイズ・ハイ・アドミッタンスタイプのシリコン接合FETを、2段目にはハイfT、ハイHfeタイプトランジスタによるエミッターフォロワーを採用するなどの構成となっています。これにより高い入力インピーダンスを確保しながらハイスピードな特性でCSSC回路へと信号を送り込んでいます。

全ての帯域を自然な音色で統一するため、独自のODβ回路を採用しています。
一般的なアンプ回路では電気的特性を改善する目的でNFB補正が利用されており、特にDC領域での増幅器としての安定度を確保するために通常のNFBとは別ループで直流帰還をかけています。さらに、強力な制御を行うためにDCサーボアンプを帰還ループ内に挿入する方式がありますが、サーボアンプの介在によって低音域の音色に影響を与え、中音域と低音域の音質に不統一感が生まれていました。
C-10ではCSSC回路の採用によって直流安定性を飛躍的に高めており、さらに回路の裸特性を高度に練り上げることにより、音質的に弊害を生むDCサーボアンプを削除しています。また、全帯域のNFBではラックス伝統のノウハウを注いで回路ごとに最適な帰還量を設定しており、全音楽帯域のエネルギーバランスをコントロールすることによって音色を統一しています。

電源部にはハイイナーシャ電源を採用しています。
従来の安定化電源では多量のNFBで制御し、仮想の電源部のインピーダンスを低く抑えることで電源電圧の変動を見掛け上小さくしています。しかし、俊敏に変動する音楽のレスポンスと、それがフィードバックされて制御が働くまでの間には時間差があり、ミクロ的に観察すると電源電圧は小刻みに揺れ続けていました。さらに、フィードバック点から少し離れたポイントでは逆に大きな変動となり音楽信号に著しい変動を及ぼしていました。
ハイ・イナーシャ電源では、レギュレーター回路などによる従来の電圧制御による電源の安定化ではなく、電源エネルギーの貯水池である大容量コンデンサーを媒介にして負荷へ電源供給する構造となっています。さらに、この回路を実現するためにラックス独自のノウハウによって開発された瞬時供給能力に優れた良質の大容量コンデンサーを採用し、負荷に流る電流の変動に影響されず一定のエネルギーを保持する電源部を実現しています。
また、このコンデンサーに充電するためのレギュレーター回路には、むやみに回路の出力インピーダンスを引き下げるのではなく、コンデンサーの電位を一定に保つべく必要最小限度のNFB制御とすることで、過剰なフィードバックによって発生する小刻みな電源のゆれの問題も解消しています。

ハイイナーシャ電源に使用されている大容量のカスタムコンデンサーは、永年にわたるコンデンサーメーカーとの共同開発によって特殊仕様のコンデンサーであった瞬間充放電のコンデンサーをオーディオ用としてチューニングしたもので、大容量とハイレスポンスという相反する条件を満たしています。

よりクリーンで安定した電源供給を実現するため、完全独立電源ルーム方式を採用しています。
この電源ユニットの中に電源トランス、整流ダイオード、ブロックコンデンサーなどを格納することでリーケージフラックスを遮断するだけでなく、メカニカルな振動に対しても防振材で電源ルーム全体をメインシャーシからアイソレートしており、電源部からの電磁的・機械的両面におけるノイズ成分をシャットアウトしています。
また、C-10では各部を完全シールド構造にして各回路ブロックをレイアウトする一方、要所に高周波電磁吸収体のシールドゾーンを設けるなど、回路ブロック間の相互干渉や外部からの電磁的ノイズ、高周波ノイズの影響を排除しています。

内部コンストラクションは、極めて安定性が高く、優れた振動吸収モードを持つ5点接地の大質量FRPベースのボトム構造に、肉厚の硬質なシャーシ材によって各パーツをマウントしています。
これにより不要振動や共振の影響を遮断し、メカニカルなノイズを防いでいます。

C-10では電源トランスやCRパーツに試作を繰り返して開発されたカスタムパーツを採用しています。
小容量コンデンサーや銅シールド付き銅箔スチロールコンデンサーを採用するとともに、信号系の切換えに用いられる密閉型金張り接点リレーにもラックス特別仕様のカスタムメイド品を採用しています。このリレーは接点に研磨をかけることでより完全な面接触を実現しています。

トーンコントロールにはラックス方式のNF型トーンコントロールを採用しており、フラットポイントでの周波数のうねりや不自然な癖を抑えた調整が可能です。
また、このトーンコントロール回路はラインストレートスイッチによりバイパスすることで、ダイレクトにフラットな周波数特性が得られます。

入力はコアキシャル6系統とバランス2系統、出力はコアキシャル2系統とバランス2系統を搭載しています。バイアンプ駆動においてもコアキシャルとバランスのいずれも選択できます。
テープ系の入出力は2系統を装備しており、録音出力用のバランス/アンバランス変換アンプには新開発のハイブリッドICチップを採用することで高精度な変換を実現しています。
バランス入出力端子にはメタルタイプXLR端子などの信頼性と耐久性に優れた素材を投入しています。

アルミ削り出しのフロントパネルを採用しています。

シーリングポケット内には、バランス入力でのホット/コールドを入れ換えるインバーテッドスイッチや、L/Rを入れ替えて出力するリバースモードスイッチ、ラインストレートスイッチを搭載しています。

機種の定格
型式 コントロールアンプ
入力感度/インピーダンス Tuner、CD、Line1~4:150mV/50kΩ
Balance Line1、2:150mV/100kΩ
出力レベル/インピーダンス コアキシャル:定格 1V/300Ω、最大7.5V
バランス:定格 1V/600Ω、最大7.5V
全高調波歪率 0.005%以下(定格)
周波数特性 20Hz~20kHz +0 -0.1dB
S/N比 110dB以上
トーンコントロール Bass:最大±8dB、±6dB(100Hz)、ターンオーバー300Hz
Treble:最大±8dB、±6dB(10kHz)、ターンオーバー3kHz
付属機能 テープ・ダビング:2系統(1→2、2→1)
REC OFF
ストレート・スイッチ
出力モード切替スイッチ
リモート(Power)出力
ライン・フェイズ・センサー
出力位相切替スイッチ
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 38W(電気用品取締法による規定)
外形寸法 幅467x高さ187x奥行475mm
重量 23.0kg