解説　

縦型パワーFETを搭載したプリメインアンプ。

増幅素子に、新素子として注目された縦型パワーFETを採用しています。
この素子は、一般のトランジスタのようなキャリア蓄積効果がないため、スイッチング速度が速く、また高域まで安定にNFBをかけることが可能です。また、NチャンネルとPチャンネルのコンプリメンタリー素子を得ることができ、さらにオーディオアンプとして期待される高入力インピーダンスと低出力インピーダンス特性や、なめらかなピンチオフ特性を示します。また、負の温度係数を有し、熱暴走を起こしにくいなど、様々なメリットを持っています。

HA-500Fではこの縦型パワーFETをパワー部に採用しており、Nチャンネル、Pチャンネルの縦型パワーFETによるプッシュプル純コンプリメンタリーOCL回路構成となっています。
定電流回路がAクラス段の利得を上げると共に、新しいドライブ回路の開発により、安定した動作で優れた特性を得ています。

イコライザー段は、初段を高耐圧低雑音のトランジスタを用いた差動増幅器とし、次段はFETとして初段の利得を上げ、3段目をバイポーラトランジスタによるエミッタ・フォロアとして±2電源でドライブしています。
これにより大きなダイナミックマージンを獲得し、さらに精度の高い素子と充分なNFによってRIAA偏差も改善しています。

トーンコントロール部の初段には、信号源インピーダンスが高い時に雑音の少ないFETを採用しており、ボリューム位置によるSN比の劣化がない入力回路を構成しています。

ボリュームスイッチには左右連動誤差の少ない22接点スイッチ式アッテネーターを採用しています。
また、加算式3段ゲインセレクターによるレベル微調整も可能となっています。

異なったスピーカーの比較試聴に便利なスピーカーBレベル調整を搭載しています。

ラウドネススイッチやトーンディフィートスイッチを搭載しています。

ウッドケースは別売りオプションとして販売されました。

機種の定格

型式	プリメインアンプ
<パワーアンプ部>
回路方式	差動1段全段直結縦型パワーFET純コンプリメンタリーOCL
実効出力	20Hz～20kHz、両ch駆動: 50W+50W(8Ω) 1kHz、両ch駆動: 55W+55W(4Ω) 55W+55W(8Ω) 1kHz、片ch駆動: 60W/60W(4Ω) 60W/60W(8Ω)
全高調波歪率	0.3%(実効出力時) 0.008%(1/2実効出力時、1kHz)
混変調歪率(70Hz:7kHz＝4:1)	0.3%(実効出力時) 0.1%(1W出力時)
出力帯域幅	5Hz～37kHz
周波数特性	10Hz～20kHz +0.5 -1dB
入力感度/インピーダンス	1V/55kΩ
出力端子	A、B:4Ω～16Ω A+B:8Ω～16Ω ヘッドホン端子:4Ω～16Ω
ダンピングファクター	50以上(1kHz、8Ω)
S/N(IHF、Aネットワーク)	100dB以上
<プリアンプ部>
回路方式	イコライザーアンプ:差動1段3段直結、FET使用 コントロールアンプ:NF形、初段FET使用
入力感度/インピーダンス	Phono1:2mV/50kΩ Phono2:2～5mV/50kΩ(Low-High切換) Tuner、Aux、Tape PB1、2:100mV/50kΩ Mic:2mV/25kΩ
Phono最大許容入力	Phono1:280mV(RMS、1kHz) Phono2:280～700mV(RMS、1kHz)
出力レベル/インピーダンス	Tape rec1、2: 100mV/1kΩ Pre out: 1V/4.7kΩ(定格) 6V/4.7kΩ(最大)
周波数特性	Phono(RIAA偏差):30Hz～15kHz ±0.3dB
トーンコントロール	Bass:±10dB(100Hz) Treble:±10dB(10kHz)
フィルター	Low:40Hz、6dB/oct
ラウドネスコントロール(Volume -30dB)	+13dB(100Hz)、+7dB(10kHz)
S/N(IHF、Aネットワーク、入力ショート)	Phono:75dB Tuner、Aux、Tape PB:90dB
アッテネーター	-5、-10、-20dB(加算可能)
<総合>
使用半導体	トランジスタ:42個 FET:8個 ダイオード:37個
電源電圧	AC100V、50Hz/60Hz
ACアウトレット	電源スイッチ連動:1系統 電源スイッチ非連動:1系統
定格消費電力(電気用品取締法)	170W
外形寸法	本体:幅435x高さ144x奥行388mm ウッドケース使用時:幅467x高さ179x奥行400mm
重量	12kg
別売	ウッドケース LA-200(￥6,500)