オーディオの足跡

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LAT-1000の画像
 解説 

LAT(Lossless Acoustic Transducer)の新たなフラッグシップ機として開発されたスピーカーシステム。

LAT-1000ではLAT-1のデザインを継承しつつ、すべてのユニットの全面的な改善と、クロスオーバーの改良、バスレフポートの形状/容積の変更が加えられています。

低域には20cm(8inch)コーン型ウーファーを3個搭載しています。
このユニットはLAT-1000用に開発されたScanSpeak製ウーファーで、振動板には0.8mm厚のキャスト・アルミコーンを採用しています。この振動板は表面に黒色アノダイズによるコート処理が施されており、分割共振を防いでいます。
ダンパーには0.3mm厚の特殊繊維を採用しています。この素材はダイナミックコンプライアンスが一定な特殊形状にすると共に高分子凝固処理で強化されており、大振幅にもぶれなく対応すると共にレゾナンスを大幅に低減しています。また、エッジには天然ゴムの物性に近いスチレンブタジエン系ゴムを採用しています。
磁気回路には121mm径で35mm厚のストロンチウム・フェライトマグネットを採用しています。
フレームにはアルミダイキャストフレームを採用しています。このフレームはフランジ部では7mmの厚さをもたせ、さらに振動板背面だけでなくダンパーの背面部分にも大きな開口を持たせる事で背圧による空気抵抗を減少させると共に、エアフローノイズと反射音を抑えています。これにより低歪でダイナミックな振幅を実現しており、ピストンモーションによって動かせる空気量はLAT-1のウーファーの2倍となっています。

中域には13cm(5.25inch)のコーン型ミッドレンジを2個搭載しています。
振動板にはキャスト成型を用いたマグネシウム振動板を採用しており、表面に黒色トリートメントを施し、エッジには天然ゴム系エッジを採用しています。
磁気回路には6個のネオジウムマグネットを用いた構造を採用しており、キャビティの共振を排除すると共にエアーフローノイズを軽減し、さらにフェライトマグネットの1/10という小型化によってコーン背面の音圧反射を低減しています。また、ポールピースには重量級の銅リングをスリーブする事で磁気回路のモーション・リニアリティを高め、変調歪を追放しています。
フェイズプラグには銅のソリッド・フェイズプラグを採用しており、滑らかな位相直線性を得るとともにポールピースの熱排出にも役立っています。
フレームにはダイキャストメタルフレームを採用しており、ウーファー同様にダンパー部にも大きな開口を持たせる事で背圧による空気抵抗を減少させると同時にエアフローノイズと反射音を抑えています。

高域にはScanSpeak製の2.5cm(1inch)リング・ソフトドーム型ツィーターを搭載しています。
ボイスコイルには1インチボイスコイルを採用しており、中央には新形状の削り出しアルミ製フェイズプラグ(ウェーブガイド)を装備しています。

ネットワーク部はウーファー/ミッドレンジ/ツィーターの各々を分割して搭載しています。
基板には4オンスの銅のトレースパターンを持つ1/8インチ厚のガラスエポキシ・プリント基板を採用しており、低マイク効果、低抵抗、低インダクタンスと、高電流供給能力を持たせています。
使用されるコイルは高純度OFCによる空芯構造となっており、中でも最大のコイルは10ゲージ(直径2.6mm)の線材を用いた直径130mmのものとなっています。また、コンデンサー類にはWIMA製の完全密封ポリプロピレン・低容量タイプを複数個並列配備し、インダクタンスとレジスタンスを抑え、ハイスピードで大きな電流供給能力を持たせています。
ウーファークロスオーバーは二次ベッセルフィルターによる283Hzとなっています。また、ミッドレンジクロスオーバーは二次ベッセルフィルターによるハイパス275Hzと三次バターワースフィルターによるローパス2.85kHzとなっています。
ツィータークロスオーバーは三次バターワースフィルターによる2.8kHzとなっています。

エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しています。
新設計のバスレフポートはLAT-1の22Hzチューニング3ポートから、30インチ長、300立方インチ容積のシングルポートに変更されており、LAT-1より1/3オクターブのローエンド拡充に成功しています。
ユニットレイアウトはバーチカルツインを採用していたLAT-1から変更されており、軸上周波数特性と音質向上を図っています。
素材はアルミ押出材を部所によって材質を変えつつ採用しています。サイドには6063-T5を採用し、バッフルにはマグネシウム、ケイ素、銅の含有率が6063-T5より多くて硬度が高い6061-T6を使用する事でユニットへの耐振性を強化しています。断面形状は0.75インチから最厚1.5インチまで厚み付けに変化を加え、非共振ダンピング性能を高めています。
エンクロージャー内部の空間形状はコンピューターシミュレーションによって決定されており、吸音材を全く使用せずに定在波を追放しており、振動板のエネルギーのロスを抑えています。また、内部には曲げ加工による1/4インチのアルミ材による中高域専用サブエンクロージャーを設け、ウーファーの背圧の影響を防いでいます。サブエンクロージャー内部は鉛板と吸音材を複合し、不要共振とサブエンクロージャー内部の定在波を排除しています。
外面周囲は縦方向にギャザーを細かく刻んだなだらかな曲面を持たせる事で高音域の回折効果を回避しています。

ネットグリルには天然ゴムの簾状グリルを採用しており、音透過性の高いデザインとなっています。

シルバーとブラックの2色のカラーバリエーションがありました。

機種の定格
方式 3ウェイ・6スピーカー・バスレフ方式・フロア型
使用ユニット 低域用:20cmコーン型x3
中域用:13cmコーン型x2
高域用:2.5cmリング型
周波数特性 28Hz~30kHz ±3dB
能率 89dB SPL/W/m
公称インピーダンス
クロスオーバー周波数 低域:283Hz(二次ベッセル)
中域:275Hz(二次ベッセル)、2.85kHz(三次バターワース)
高域:2.8kHz(三次バターワース)
外形寸法 幅318x高さ1,387x奥行356mm
重量 122.7kg