JBL L220
¥240,000(1台、1979年頃)
解説
JBLがもつスタジオモニタースピーカーの技術や新たなテクノロジーを導入したフロア型スピーカーシステム。
L220では各ユニットの音源位置を揃えることで各音源から出る音がフロントバッフルに至るまでの到達時間を等しく保っています。これらのユニットから出た音はフラットな単一のフロントバッフルまで導かれて放射されることになるため、不要な反射などを防止でき、位相特性に優れた音響放射を可能にしています。
さらに、ユニットレイアウトを縦一列に並べたインライン配置とすることで統一のとれた音源を得ており、より正確な音像定位を実現しています。
低域にはL101にも採用された36cmのコーン型ウーファーであるLE14Aを搭載しています。
このユニットの磁気回路にはJBL伝統のアルニコVマグネットを採用しており、直径10.2cmのボイスコイルは銅リボン線をエッジワイズ巻にして用いています。LE14Aでは口径に対してボイスコイルの直径が大きいため、優れた過渡応答と効率を持っています。
また、低域用にオリンパスS508と同じ38cm口径のパッシブラジエーターPR15Cを搭載しています。
PR15Cはコンプライアンスが非常に高くウーファーよりも約30%面積の広いため、LE14Aと併用することによって低域のレスポンスを改善しています。
中域には13cmのコーン型スコーカーのLE5-9を搭載しています。
ウーファーからの干渉を防ぐため、独立したチャンバー内に納められており、メインバッフル板の後方にサブバッフル板を設けてマウントされています。
このサブバッフルの前面には専用の音響レンズを装備しており、音響レンズによってスコーカーから出た音がメインバッフル面に導かれ理想的な角度に拡散させています。
高域にはホーン型トゥイーターの076を搭載しています。
076はJBL独特のリングダイアフラムを採用した楕円ホーン型のユニットです。位相と振幅を一定に保つフェイジングプラグから断面が楕円形をしたエクスポネンシャルホーンにつながる構造によって指向特性のコントロールを行うとともにツィーターの音源が他のユニットと一直線上に並ぶよう工夫されています。
ネットワークにはインピーダンスの均一化と位相補正回路を内蔵しており、各スピーカーユニットのクロスオーバー周波数附近でのピークディップや位相乱れを起こさないように設計がされています。
エンクロージャーは前面が拾い台形をした床形状となっており、床面積を最小限にとどめつつ十分な強度を得ています。
また、外観は黒くるみ材に伝統的な手磨き仕上げを施したものとなっています。
機種の定格
型式 | 3ウェイ・3スピーカー・パッシブラジエーター方式 ・フロア型 |
使用ユニット | 低域用:36cmコーン型(LE14A) 中域用:13cmコーン型(LE5-9)+音響レンズ 高域用:ホーン型(076) パッシブラジエーター:PR15C 専用3ウェイネットワーク |
定格入力 | 75W(連続正弦波) |
インピーダンス | 8Ω |
クロスオーバー周波数 | 800Hz、5kHz |
出力音圧レベル | 90dB(新JIS) |
外形寸法 | 幅512x高さ1,225x奥行390mm |
重量 | 48kg(梱包時) |