harman/kardon PM655Vxi
¥95,000(1987年頃)
解説
New PM Vxiシリーズのプリメインアンプ。
New PM Vxiシリーズには、4Ωと8Ωの負荷のために電流と電圧を最適化する独自のアンプ理論"High
Voltage/High Current"を採用しています。この方法は、スピーカーを利アクティブ負荷(コンデンサーとコイルの複合体)とし、過渡的な電圧信号に対して不均衡な大インラッシュ電流が流れる装置だと見なしています。そして、4Ωと8Ωの負荷に対し、リアパネルの切換えスイッチによってそれぞれ個別に出力の最適化を図る手法が採られています。
まず、8Ωスピーカーを鳴らす場合は、定格出力に対応した電流が得られるように十分に高い電圧を供給することができます。8Ωスピーカーのインラッシュ電流は4Ωスピーカーよりも少ないので電流を制限する必要がありません。そして、4Ωスピーカーの場合では電流消費量が大きくなってくるため、最大電圧を下げて十分な電流を確保できるように設計されています。
HICC(瞬時電流供給能力)を高める設計が採用されており、パワー段には2クラス上のパワートランジスタを採用し、強力な電源部を搭載することで常に安定したスピーカードライブを実現しています。
NFBを多用することで動的歪が発生してしまうのを防ぐため、裸特性を高め、低NFB構造としています。
12~20dBのNFBの範囲で1Hz以下から150kHzまでの周波数特性をクリアにしています。
保護回路として独自の高速電子プロテクションを採用しています。
この回路は、電流量を時間経過で常時監視し、危険領域直前で動作をストップさせます。また、出力側には音質劣化の原因となるリレーを使用していません。
パワーアンプ部には、ドライバー段を低電圧駆動するため、インバーテッドダーリントン方式を採用しています。
フォノイコライザー回路には、CR型とNF型の2方式の特徴を持ったデュアル・RIAAイコライゼーション回路を採用しています。
この回路では、最初にCR型で完全なRIAAカーブを得たのち、NF型により同一特性で浅いNFBをかけ、最終的なRIAA特性を獲得しています。これにより、一般的に多いNF型が陥りがちなTIM歪からの影響を回避しています。
小型スピーカーの低周波レスポンスの低下を補正するため、ハーマンカードン独自のバスコンター回路を搭載しています。
この回路では、一般のラウドネス回路による300Hz以上の中低域にかけての位相ズレを矯正しています。
ビデオ入出力端子を搭載しています。
ボリュームには連動誤差の少ないDカーブ型ボリュームを採用しています。
Dカーブ型は、常用位置が中点(12時点)に近く、レベル差が出にくくなっています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
定格出力(20Hz~20kHz) | 90W+90W(8Ω) |
瞬時電流供給能力(HICC) | 45A |
周波数特性(1W出力) | 0.2Hz~150kHz +0 -3dB |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.2mV/47kΩ Phono MC:0.12mV/56Ω Tuner、CD、Aux:135mV/22kΩ Video、Tape:135mV/22kΩ Main in:0.8V/22kΩ |
フォノオーバーロード(1kHz) | MM:220mV MC:12mV |
トーンコントロール特性 | Bass:±10dB(50Hz) Treble:±10dB(10kHz) |
フィルター特性 | サブソニック:15Hz、6dB/oct ハイカット:6kHz、6dB/oct |
位相補正ラウドネス特性 | +10dB(50Hz)、+2dB(300Hz) |
位相変化(300Hz~20kHz) | <5゜ |
消費電力 | 180W |
外形寸法 | 幅443x高さ134x奥行398mm |
重量 | 11.2kg |