GAS THAEDRA
¥660,000(1976年頃)
解説
世界初のサーボループ・コントロール・プリアンプとして発表されたコントロールアンプ。
THAEDRAはムービングコイル型低レベル・フォノ入力と出力端子との間にイコライジング・アンプとトーンアンプの2段階のアンプしかもたないシンプルな構成を採用しています。
この2ステージのアンプ・システムでは複合高調波歪を減らせるというメリットがありましたが、1つのクローズドループの増幅度が90dBにもなってしまい、通常ではコントロールに難点がありました。GASではこの特徴を確率するために新しい概念であるサーボループを組み込んでいます。
THAEDRAの回路はフォノ入力のカップリング・コンデンサーを除き100%のDC結合サーボ・コントロールを実現しています。
従来のDC結合のアンプはDCドリフトによる低域モジュレーション・ノイズの発生が避けられない問題点となっており、多量のNFか、もしくは音質を犠牲にしたカップリング・コンデンサーの挿入によって対処していました。
しかし、THAEDRAではそのどちらの方法も採用しておらず、サーボループによってDCドリフトを無くし、サーボが常に出力DCレベルを監視しています。これによりハイレベルの高域信号を増幅している時でも低域モジュレーションノイズが発生しません。さらに、他にも優れた特徴として非常にノイズが少なく、しかも入力抵抗値が600ΩでMCカートリッジにマッチし、サーボヘッドアンプの歪率は測定器での識別値以下に抑えられています。
トーンコントロールにサーボアンプを採用することで伝送特性への悪影響を排除しており、フラットポジションでも真にフラットな特性を実現することでトーンキャンセル回路を排除しています。さらに、聴感上で重要な帯域に悪影響を及ぼすのを防ぐため、新設計のガウシアン・バンドによる初のトーンアンプとすることで、高域ノイズや歪率、電波誘導を排除しています。
5ポジションのベッセルフィルタを搭載しています。
このフィルターは完全DCアンプによる良好な低域特性によって、あまり適当でないターンテーブルやトーンアームを使用した際に低域ゴロ等によって変調を起こすのを防ぐために使用します。
THAEDRAではサーボアンプを採用しているため8Ω負荷で1Wもの出力を持っており、パワーアンプを安定して駆動できます。
サーボコントロールアンプの特性上、ウォーミングアップ時間が必要となっており、使用の20~30分前に電源投入することを推奨しています。
また、プロのミキシングコンソールなどでは使用の予定の1時間以上も前から電源を投入し、特性を安定させています。
オプションパーツのサーボヘッドアンプのカードを差すことで、MCカートリッジ入力2回路によるA-B比較試聴が可能です。
機種の定格
型式 | コントロールアンプ |
<ヘッドアンプ部(Moving-Coil、Phono)> | |
ゲイン | Tape output:69dB Main output:90dB |
ノイズ | 75nanoV(20Hz~20kHz) 32nanoV(400Hz~20kHz) |
歪率 | 0.01%以下(2V、20Hz~20kHz) |
RIAA偏差 | ±0.5dB(20Hz~20kHz) |
<Magnetic Phono> | |
ゲイン | Tape output:42dB Main output:63dB |
ノイズ | 500NanoV(20Hz~20kHz) |
歪率 | 0.01%以下(2V、20Hz~20kHz) |
RIAA偏差 | ±0.5dB(20Hz~20kHz) |
<High Level> | |
ゲイン | Main output:21dB |
ノイズ | 6μV(20Hz~20kHz) |
歪率 | 0.01%(2V、20Hz~20kHz) |
周波数特性 | DC~100kHz ±1dB |
<総合> | |
最大入力 | Head amp:3.5mV(1kHz) Phono:100mV(1kHz) High level:1V R.M.S. |
最大出力 | 10V R.M.S. |
外形寸法 | 幅430x高さ152x奥行324mm |
重量 | 15.9kg |
別売 | サーボヘッドアンプカード(¥8,000) |