FOSTER/FOSTEX GZ-77
¥48,800(1台、1970年台前半頃)
解説
SLE方式によるエッジレスウーファーを軸に設計されたスピーカーシステム。
低域にはSLE方式を用いた20cmコーン型ウーファーを搭載しています。
SLE(Super Linear Long Excursion)方式ではコーン紙外周部から機械的なサスペンション(エッジ)を排除しており、優れた直線性を獲得するとともに、エッジの異常振動によって起こった中域特性の谷や低域での異常音が無く、優れた低域再生を可能にしています。また、ボイスコイルの巻線部分の上下2ヶ所を固定したバランス型ダブルダンパー機構を採用しており、コーン紙のピストン運動の対称性を高めています。
SLEウーファーではエッジの排除とダブルダンパー機構の採用により、振動系のストロークが従来の2倍となっています。これにより20cm口径にも関わらず、優れた耐入力を実現しています。
SLE方式ウーファーユニットにはアコースティックローパスフィルターを搭載しています。
コーン紙と外周部のリングフレームは間に1mmの隙間を保って振幅運動しています。この部分を等価回路に置き換えると、ある周波数に共振点を持ったバスレフ型キャビネットのポートと同じような働きをしています。アコースティックローパスフィルターは共振周波数が可聴周波数以下になるよう設計されています。これにより、可聴周波数内でのこのフィルタが充分大きな減衰特性を持ち、隙間が完全に無視することができ、コーン紙前後の音圧が隙間を通してショートすることが無く、音圧低下がありません。
ウーファーのコーン紙は、パルプ材料で充分な剛性を持たせ、さらに内部損失の大きな特殊材料を加えて複合成形したものを採用しています。これにより剛性を確保しつつ内部損失を大きくしています。
中域には5cmドーム型スコーカーを搭載しています。
また、高域には2.5cmドーム型ツィーターを搭載しています。
中域と高域用に3段切換式のレベルコントロールを搭載しています。
エンクロージャーにはバスレフ方式を採用しています。
外観仕上げはウォルナットのオープンポア仕上げが施されており、木の味を生かしながら塗布塗料を木部に深く浸透させることで木質を完全に硬化させています。これにより従来のエンクロージャーよりもしっとりとした光沢のある仕上げを実現しています。
背面端子にはワンタッチ式を採用しています。
※上のカラー写真は試作品らしく、レベルコントロールが3段切換式となっていません。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:20cmコーン型 中域用:5cmドーム型 高域用:2.5cmドーム型 |
インピーダンス | 8Ω |
周波数特性 | 30Hz~20kHz |
出力音圧レベル | 89dB(新JIS規格) 95dB(旧JIS規格) |
入力 | 160W(ミュージックパワー) |
クロスオーバー周波数 | 700Hz、5kHz |
レベルコントロール | 中域、高域用、3段切換式 |
外形寸法 | 幅400x高さ685x奥行300mm |
重量 | 23kg |