DIATONE D-102
¥178,000(1982年頃)
解説
家庭用ビデオデッキに接続するだけで、ビデオカセットでデジタルオーディオが楽しめるデジタルオーディオプロセッサー。
D-102には、1979年に発表されたEIAJ方式デジタルオーディオプロセッサー1号機
D-1にも搭載されている無帰還型アクティブフィルターを搭載しています。さらに、D-102ではこの無帰還型アクティブフィルタに改良を加え、コンデンサの選択及び小型化を実施することにより、音質改善を実現しています。
再生モードでのD/A変換時に発生するグリッチ信号を除去するデグリッチ回路には、新開発のシンプル・デグリッチ回路を採用しています。これにより、従来のアナログスイッチ、CR積分回路、高速オペアンプで構成された回路で発生していた、CR積分回路と高速オペアンプによる中高域の劣化を抑えています。
アナログ回路及び電源回路に使用するパーツには、十分に吟味したものを採用しています。
抵抗はタンタル系だけを使用し、コンデンサも最もエネルギーバランスの良い音響用電解コンデンサーをベースに、回路各部の動作・機能に応じて銅箔スチロールコンデンサー、音響用フィルム・コンデンサ等を使用しています。
また、筐体、ネジ、配線材等には純銅及び銅メッキ品を使用しており、さらに低帰還容量オペアンプを採用するなど、特性上最もバランスの良いものだけを使用しています。
デジタル回路自身を低消費電力化することにより、音質の向上と電源回路内蔵を実現しています。
D-102では、デジタル回路をLSI化するにあたり、従来のN-MOS型に対し低消費電力という長所を持つC-MOS型を採用しています。また、ワウ・フラッタ除去用16k-SRAM及び8ビット・1チップ・マイコンにもC-MOS型を採用しています。これにより、N-MOS型の消費電力が3~4Wなのに対し、0.5W以下の低消費電力を実現しています。
電源部には、「デジタルオーディオにふさわしい電源回路」という基本理念のもとに開発された、CCVR(Current
Controlled Voltage Regulator)電源回路を搭載しています。これにより、電源出力のSN比を約30dB改善し、電源ラインには一切のコンデンサを使用していません。
デジタルフェーダー回路によるオートフェードイン/フェードアウト機能を搭載しています。
機種の定格
型式 | デジタル・オーディオ・プロセッサー |
方式 | 日本電子機械工業会(EIAJ)技術ファイルSTC-007に準拠 |
伝送チャンネル数 | 2チャンネル |
変調方式 | NTSC標準テレビジョン信号利用のPCM |
標本化周波数 | 44.056kHz |
量子化 | 14ビット直線量子化 |
伝送記録密度 | 2,643Mビット/秒 |
周波数特性 | 10Hz~20kHz ±1.0dB |
ダイナミックレンジ | 90dB(エンファシスon) 85dB(エンファシスoff) |
歪率 | 0.01%以下(1kHz、0dB入力) |
エンファシス | 50μS、15μS |
ドロップアウト補償 | 2パリティ(P、Q)とCRCを組合せた訂正符号による訂正および平均値内挿補正 16Hのワードインターリーブ併用 |
ワウ・フラッター | 測定限界以下 |
適合VTR | VHS、β、Uマチック |
消費電力 | AC時:13W DC入力時:9W |
外形寸法 | 幅270x高さ95x奥行270mm |
重量 | 3.3kg |