DIATONE M-A01
¥75,000(1978年頃)
解説
高性能を維持しつつ小型化を図ったステレオパワーアンプ。
低域の位相歪や、過渡混変調歪を改善するため、回路の時定数となるコンデンサーを一切省いたDC化を採用しています。これにより、直流域までフラットな特性を実現しています。
高域の伸びを改善するためパワートランジスタにRET(リング・エミッタ・トランジスタ)を採用しています。さらに、負帰還をかける前のゲインを各段それぞれ最適に配分することで裸特性の向上を図っており、高い周波数まで安定した負帰還をかけやすくしています。
具体的には、低い周波数での負帰還量は減らし、その分高い周波数での負帰還量を増やして歪を提言しています。
初段に、よく特性が揃っていて、さらにgm(相互インダクタンス)が大きく、それ自身のノイズが極端に少ない独自の低雑音デュアルFETを採用しています。これによりS/N比を改善しています。
電源部には、55V/20,000μFのフィルターコンデンサ2個と、効率が高く小型化ができるカットコアをしようした250VAの電源トランスを採用しています。この電源部はアンプ内部の容積の約40%を占める大きさで、小型ながら強力な電源を持った構造となっています。
片チャンネル12個のLED表示によるピークレベルインジケーターを搭載しています。
小型化を図るため、電源トランスとヒートシンク以外の電源回路を1枚のプリント基板上にまとめ上げています。
また、大電源部により生じる磁束の結合に注意をはらっており、入出力間の磁束結合を無くすために、入力回路と出力回路の部品配置、銅箔パターンの引き回しについても細かい配慮がされています。
さらに、プリント基板を小型化することで、銅箔パターンが狭くなり、パターンのインピーダンスに影響を与えてしまう問題については、電流の大きさに比例して銅箔パターンを広くし、パターンインピーダンスの影響を少なくしています。
ヒートシンクを左右側面に露出させ、さらに前面パネル下方より空気を取り入れ、セット内部にも対流を起こし、大出力にも耐える熱安定性を確保しています。
スピーカー側とアンプ側にそれぞれ独立の保護回路を搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
回路方式 | 差動増幅3段 カレントミラー・ドライブ・ダーリントンシングルPP(DCアンプ) |
定格出力 | 70W+70W(8Ω、15Hz~20kHz、THD0.01%) |
高調波歪率 | 0.004%(8Ω、定格-3dB出力、20Hz~20kHz) 0.006%(8Ω、1W出力、20Hz~20kHz) |
混変調歪率 (70Hz:7kHz=4:1) |
0.008%(8Ω、定格出力) 0.005%(8Ω、1W出力) |
出力帯域幅 | 10Hz~60kHz(8Ω、THD 0.05%) |
周波数特性 | DC~200kHz +0 -1dB |
入力感度/インピーダンス | 1V/50kΩ |
ダンピングファクター | 100 |
残留ノイズ | 80μV以下 |
S/N | 123dB |
Phono出力レベル | 0.1mW/W |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 160W |
外形寸法 | 幅270x高さ140x奥行243mm |
重量 | 10kg |
付属 | PIN-PINコード |