DENON TU-520
¥33,000(1980年頃)
解説
当時の最新デバイスとチューナー技術を駆使し、基本性能を重視して開発されたFM/AMチューナー。
フロントエンド部は、初段に高周波特性、雑音特性にすぐれたFETを使用し、3連バリコンの採用と相まって、感度・S/Nを改善しています。
また、隣接局のイメージ妨害排除能力を向上させています。
IF(中間周波増幅段)には、低歪率、高選択度を両立させるリニアフェイズ・セラミックフィルター3段構成とし、新開発のQuadrature検波iC、PLL-MPX
ICなどの採用と相まって低歪率化を実現しています。
MPX部には、新開発のPLL-MPX ICを採用しており、さらに、MPX部専用のリップルフィルター回路によって、電源リップルによるノイズ成分を低減しています。
また、この回路で得られた音楽信号をなるべく劣化させずに出力するため、IC内にラインアンプを内蔵させ、MPX部とオーディオ・アンプ間のカップリングコンデンサーを除去したDC構成としています。
局部発振周波数が周囲の温度変化などに左右されず、安定した発振をすることができるように、周波数制御システム(サーボロック)を内蔵しています。
LED使用のチューニング・メカニズムによって最適なチューニングを行った後に、サーボロック機構を動作させることにより同調ズレを防止しています。
FM受信時のチューニング表示は、3個のLEDによって、周波数のズレ方向(赤いLEDが指示)とジャスト・チューニング(緑のLEDが指示)を表示します。ジャスト・チューニング時にサーボロック機構を動作させることで、常に安定した受信を維持します。
また、アンテナ入力の信号レベルは、FM/AMともに5個のLEDで示し、電波の強さに応じて点灯するLEDの数が変化します。
AM部には、2連バリコンと新開発の3端子型高選択度セラミックフィルター2段にコイルを組合わせたIF段で構成し、9kHzのビート障害を排除しながら、安定した音質を獲得しています。
さらにアンテナには電界性ノイズに強いローインピーダンス・ループ形を採用しています。このアンテナは裏面パネルと着脱自在という方法を採用しており、受信場所に応じて良好な場所に設置が可能です。
録音レベルチェック用発振器を内蔵しています(周波数440Hz、出力レベル:FM100%変調時の-6dB)
FM/AM/Rec-Calの各ファンクションは電子切換えを採用しています。
電源ON-OFF次の雑音や、局間ノイズを除去するミューティング回路を内蔵しています。
機種の定格
型式 | FM/AMチューナー |
<FMチューナー部> | |
受信周波数 | 76MHz~90MHz |
アンテナ端子 | 75Ω、300Ω(ターミナル式) |
実用感度 | 1.7μV、9.8dBf |
S/N50dB感度 | mono:3.3μV/15.6dBf stereo:30μV/34.7dBf (μVは300Ω時、0dBfは10-15W) |
イメージ妨害比 | 56dB |
IF妨害比 | 95dB(83MHz) |
スプリアスレスポンス | 80dB(83MHz) |
AM抑圧比 | 55dB |
実効選択度 | 65dB(±400kHz) |
キャプチャー比 | 1.0dB |
周波数特性 | 20Hz~15kHz +0.2 -1.5dB |
SN比 | mono:84dB stereo:80dB |
全高調波歪率(1kHz) | mono100%変調時:0.05% stereo90%変調時:0.06% |
ステレオセパレーション | 55dB(1kHz) |
ミューティング動作レベル | 22dB |
出力レベル | 0.6V(100%変調時) |
付属機能 | サーボロック機構 |
<AMチューナー部> | |
受信周波数 | 525kHz~1605kHz |
アンテナ端子 | ターミナル式、ループアンテナ付 |
実用感度(S/N20dB) | 18μV |
選択度 | 36dB(±9kHz) |
イメージ妨害比 | 50dB |
SN比 | 55dB |
全高調波歪率 | 0.4%(1kHz) |
出力レベル | 0.2V(30%変調時) |
<レベルチェック信号> | |
周波数 | 440Hz正弦波 |
出力レベル | 0.3V(50%変調相当) |
<同調指示> | |
チューニング | LED3個による点灯表示 |
シグナル | LED5個による点灯表示 |
<総合> | |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 7.5W |
外形寸法(ツマミ、足、端子含む) | 幅434x高さ93x奥行300mm |
重量 | 4.5kg |