解説　

TU-332にAMチューナー部とテスト信号発振器を内蔵したFM/AMチューナー。

ワンメーター指示方式を採用しており、ワンメーターでチューニングとシグナルの両方を表示できます。
この方式ではファンクションスイッチに連動してメーターをセンターチューニングメーターとシグナルメーターに使い分けできるようになっています。また、シグナルメーター時はメーターの０点指示を左端に寄せる事でメータースケールを広く利用しています。

フロントエンドには周波数直線型4連バリコンを採用しており、RF増幅段には低雑音デュアルゲートMOS-FETを使用しています。

IF段には高集積度ICを採用しており、高利得増幅段と多段リミッターによって良好な特性を得ています。
また、フェーズリニア2素子セラミックフィルター3段と位相補正トランスの併用によってステレオ復調時の歪やセパレーション低下の原因となる位相歪を押さえると共に、良好な選択度を確保し、妨害電波による混信を抑えています。
さらに広帯域Quadrature検波回路や位相補正回路の採用によって低歪率を実現しています。

MPX回路には高集積ICのPLL回路を採用しています。

副搬送波除去回路にはLC2段のローパスフィルターを採用しており、キャリアリークを抑えています。

FM局間ノイズが除去できるミューティングスイッチや、ステレオ受信時のS/Nを向上させるハイブレンドスイッチを搭載しています。

AMチューナー部には高集積度ICとセラミックフィルターを採用しています。

FMアンテナには同軸コネクターが設けられています。また、AMアンテナにはバーアンテナを採用しています。

周波数440Hzのテスト信号発振器を内蔵しています。
テスト信号レベルはFM放送100%変調の1/2(-6dB)のレベルとなっており、出力端子に0.5Vrmsに設定されています。この出力は放送の50%変調に相当するレベルとなっており、テープデッキで録音する場合にレベルメーターを合わせる適確な基準となります。
このテスト信号は簡易型の発振器としても利用できるため、オーディオ機器の左右音量バランスチェックやスピーカーの位相チェックなどに活用できます。

機種の定格

型式	FM/AMチューナー
<FMチューナー部>
回路方式	デュアルゲートMOS-FET使用RF1段 4連バリコンのフロントエンド 2素子位相平坦型フィルター3個使用の差動増幅4段リミッティング6段のIF段 Quadrature検波回路、PLL-MPX回路採用
受信周波数範囲	76MHz～90MHz
中間周波数	10.7MHz
実用感度	1.8μV(IHF) 3.5μV(mono、S/N50dB感度)
実効選択度	78dB(IHF)
イメージ妨害比	90dB(83MHz)
IF妨害比	90dB
キャプチャーレシオ(IHF)	1.2dB
スプリアスレスポンス	90dB(83MHz)
AM抑圧比	60dB
周波数特性	50Hz～10kHz +0 -0.6dB 30Hz～15kHz +0 -3dB(19kHzフィルター付き)
19kHz&38kHz抑圧比	65dB
SN比	stereo:70dB mono:75dB
全高調波歪率	stereo:0.15%(1kHz、90%変調時) mono:0.1%(1kHz、100%変調時)
セパレーション	45dB(1kHz) 40dB(50Hz～10kHz)
<AMチューナー部>
回路方式	非同調RF1段差動増幅、IF2段差動増幅 トランジスタ検波の高集積度専用IC使用 2段AGC、2素子セラミックフィルター採用
受信周波数範囲	525kHz～1,605kHz
中間周波数	455kHz
実用感度(S/N 20dB)	300μV/m(付属バーアンテナ) 20μV(外部アンテナ端子)
イメージ妨害比	55dB(1,000kHz)
選択度	33dB(±10kHz)
IF妨害比	33dB(1,000kHz)
SN比	55dB(入力100mV/m、30%変調)
全高調波歪率	0.4%(入力10mV/m、30%変調)
<総合>
出力電圧(100%変調時)	1Vrms
出力インピーダンス	1.5kΩ
レベルチェック発振出力電圧	0.5Vrms(50%変調相当)
同調指示	FM:シグナルメーター兼用チューニングメーター AM:シグナルメーター
アンテナ端子	FM:75Ω(F型コネクター)、75Ω/300Ω(ネジ式) AM:フェライトバーアンテナ、外部端子(ネジ式)
その他のFMの付加回路	mono-stereo自動切替(fm-auto) ミューティング機能 ハイブレンド機能
電源	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	15W
外形寸法	幅396x高さ147x奥行281mm
重量	5.5kg