オーディオの足跡

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SC-5000の画像
 解説 

デジタルソースへの対応を図り、4年の歳月を投入して開発されたフロア型スピーカーシステム。
このスピーカーの実現にあたり、周辺・関連特許12件、実用新案2件が取得されています。

低域には40cmのコーン型ウーファーを搭載しています。
振動板には、紙の持つ優れた性質を活かしながら構造的に剛性を大幅に高めたHigh-M・P振動板を採用してます。この振動板は、木材パルプよりヤング率の高い精製ラミー繊維を木材パルプに配合し、入念に叩解処理を行って繊維長の分布をコントロールした後、新開発の特殊抄紙技術によってリブ・パターンと一体構造に製造され、高い剛性を獲得しています。このリブ・パターンは同心円状及び放射状のリブによって形成され、剛性を従来の約2倍向上させ、同時にピークやディップも抑え、高調波歪の増加を抑えると共に平坦な周波数特性を実現しています。
駆動系には、外径φ220mm、4.8x105maxwell、11,000gaussの大型フェライトマグネットを採用しており、出力音圧レベル98dB、瞬時最大音圧レベル128dBという高能率化を果たしています。
さらに、約φ100mmのセンターポールには、空気流の急激な変化による空気の非直線性歪や、大振幅時での最低共振周波数付近でのインピーダンス変化の低減を図るため、有孔部を設けています。このセンターポールには、駆動部電流歪低減のため、銅の特殊形状コントロールリングを設け、電流歪を10dB以上改善するとともに、磁気回路内部の空洞共振を防ぎ、歪の発生を防止しています。
φ100mmの大口径ボイスコイルには、ポリアミドイミド樹脂被覆の導電率の優れたリボン銅線を使用し、ノーメックス樹脂ボビンに特殊高熱処理施して巻上げることで、瞬時最大許容入力1kWをクリアしています。さらに、ボイスコイルの動きは常に磁界内を垂直に移動するように設計されており、駆動の非直線性を防止しています。
振動板を支持するエッジとダンパーに、より高い耐久性を持たせるため、フェノール樹脂に耐劣化性に優れた特殊樹脂を配合した素材を使用し、高い耐久性と適度な粘弾性を確保するとともに、エッジの異常共振および振動板共振のQを大幅に低減しています。また、エッジおよびφ170mmのダンパーの波形は、特殊リニアモーション・コルゲート曲線を採用し、振動板の前後の振幅に対して対称的な直線性を実現しています。
振動板、ボイスコイル、ダンパーは、コーンネック部にクリアランスの殆ど無い状態で取付、ボイスコイルの径方向へのたわみ振動を防ぐと共に、高域特性の安定化を計っています。

中域には15cmコーン型ミッドレンジを搭載しています。
振動板には、高分子化合物の一種である高弾性繊維の織布をエポキシ系樹脂で強化し、広帯域にわたる内部損失と高いヤング率を実現した、High-M・T振動板を採用しています。ヤング率が紙の約3倍で、内部損失も大きいため、ピストンモーション領域の拡大と分割共振域の共振Qの低減化を可能にし、音圧周波数特性の平坦化を実現しています。
駆動系には最大径140mmの大型フェライトマグネットを採用し、高能率化を実現しています。また、センターポールに銅のコントロールリングを設け、電流歪による第二、第三次高調波歪を12dB改善し、磁気回路内の空洞共振を無くし、低歪・高能率化を果たしています。
また、φ40mmのボイスコイルは、ウーファーと同等の高耐熱設計を施し、耐熱リボン銅線を使用して軽量化・高耐入力化を図っています。
エッジやダンパーの支持系もウーファー同様の独自のリニアモーション・コルゲート曲線を採用し、加えてフェノール樹脂に特殊樹脂配合による樹脂処理織布を使い、振動系のバランスを維持し直線性を拡大するとともに耐久性を向上させています。

高域には5cmコーン型トゥイーターを搭載しています。
振動板には中域と同じHigh-M・T振動板を採用しており、セミドーム形の振動板形態とし、センタードーム部には厚さ30ミクロンの特殊アルミニウム合金を使用し、ドーム部の面積を大きくして振動板部との音圧放射バランスを検討しています。振動板のネック部には折り返し部を設けてさらに高剛性化をはかり、ボイスコイルのたわみ振動を防ぎ、大入力時の歪発生を防止しています。また、センタードーム内部には超極細ガラス繊維を充填し、制振効果と吸音効果をはかり、音圧周波数特性の平坦化を図っています。
ボイスコイルから振動板までの距離を可能な限り短くするため、ダンパーを排除した合理的な構造として応答性を高めており、さらに振動板外周はフィックスドエッジとし、ゴムでサンドイッチ構造にすることで、終端反射による特性の乱れをなくすとともに指向性を改善しています。
磁気回路には、外径φ120mmのストロンチウム・フェライトマグネットを採用して高能率化を図っており、さらに電流歪を低減させ、空洞共振を防いで音圧周波数特性・インピーダンス特性を改善した独自のコントロールリングを搭載しています。また、ボイスコイルには厚さ30ミクロンの特殊アルミニウム合金にアルマイト処理を施したφ25mmのボビンに、ポリアミドイミド樹脂で処理した銅被覆リボン型アルミニウム線を均一に巻上げ、軽量化を実現し、高域特性の改善と高耐入力化を実現しています。
特に精密加工が要求されるトゥイーターは、特殊アルミニウムの合金プレートを精密切削加工し、振動系はこのプレート上に精密治工具によって組み立てられ、駆動部にアッセンブリーされます。

ネットワーク部では、回路定数は-12dB/octを基本として、サウンドラチチュード特性や各ユニットの音圧合成状態による位相補正を行い、聴感テストを経て、最新パーツを厳選して決定しています。
使用コンデンサーは損失の小さい大型メタライズドフィルム・コンデンサーを主体に採用し、全て2個以上の並列接続という贅沢な使い方をするとともに、4種類のコンデンサを各ユニットの帯域に応じて使い分けています。
またコイルは、ウーファー用にはパワーロスを考慮してL型珪素鋼板にφ1.4mmの高純度銅線を強固に巻上げたものを使用し、ミッドレンジ・トゥイーター用には大入力に対しても歪の発生が殆ど無い空芯コイルをしようしています。
また、回路内抵抗によるロスも最小限にするため、プリント基板回路を排除し、ダイレクト接続としています。

中域・高域用にレベルコントロールを搭載しています。

エンクロージャーは、40cmウーファーをバスレフ方式で最適駆動する185Lを設定し、定在波の発生およびその影響が極小となる各寸法比を採用し、しかも2種類の吸音材を最適位置に取り付けて定在波を除去しています。
また、キャビネットの振動モードをより複雑にしてしまうツナギ棧などを一切排除し、頑強な側板によるサンドイッチ構造としています。側板は、板共振の発生を低減するため10mm厚・10mm厚・15mm厚の3種類の高密度パーチクルボードを張り合わせた35mm厚とし、中央芯部は特に密度の高い表面層で構成しています。
バッフル板および天・底・背板は、25mm厚高密度パーチクルボードを使用し、側板によって両側から堅固に締めこまれています。

各ユニットを専用アンプでドライブできるよう、マルチチャンネル端子も搭載しています。

機種の定格
方式 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・フロア型
使用ユニット 低域用:40cmコーン型
中域用:15cmコーン型
高域用:5cmコーン型
周波数特性 25Hz~30kHz
インピーダンス
最大許容入力 300W(プログラムソース)
1kW(瞬時最大)
平均出力音圧レベル 97dB/W/m
クロスオーバー周波数 400Hz、3.2kHz
レベルコントロール 中音域・高音域連続可変
外形寸法 幅572x高さ925x奥行445mm
重量 70kg
<ユニット特性>
ユニット ウーファー ミッドレンジ トゥイーター
平均出力音圧レベル 98dB/W/m 97dB/W/m 97.5dB/W/m
最低共振周波数 36Hz 150Hz
(エンクロージャー装着時)
1.25kHz
最大許容入力(プログラムソース) 300W 300W 300W
瞬時最大音圧 128dB/m
(200Hz、1kW)
127dB/m
(1kHz、1kW)
122.3dB/m
(5kHz、300W)
再生周波数帯域 fo~4kHz fo~15kHz fo~30kHz
推奨カットオフ周波数(-12dB/oct) 500Hz以下 350Hz以上~5kHz以下 2kHz以上
重量 14.4kg 3.2kg 2.6kg
備考 -12dB/octより減衰量の少ないネットワーク使用時は最大許容入力が低下します。(特にトゥイーターは100W程度となります)