DENON DR-L2
¥89,800(1981年頃)
解説
4トラックヘッドと4つの専用再生イコライザーアンプによる4x4メカニズムを採用したクイックリバースデッキ。
クイックリバースデッキで問題となるヘッド部には4トラック・ヘッド方式を採用しています。
この方式では、4トラックの第1・第2トラックをフォワード用に使用し、第3・第4トラックをリバース用に使用しており、メカニズムのシンプル化を実現することで耐久性を大幅に向上しています。また、メカニズムの摩耗によって起こるヘッド位置(アライメント)のズレも生じないため、初期性能の長期間維持が可能となっています。
録音・再生用のヘッドには十分な高磁束密度と・高耐摩耗性を持つハードパーマロイヘッドを採用しています。さらに、ラミネートタイプとすることで高音域の性能を向上させ、歪の少ない録音を可能としています。
フォワード用とリバース用の2個の消去ヘッドはダブルギャップ構造となっており、メタルテープに対しても強力な消去効果を獲得しています。
ヘッドの各トラックごとの特性に合わせるため、再生アンプ部は各トラック専用に調整した4つの再生イコライザーアンプを使用しています。このアンプでは特に初段を徹底的にローノイズ化しており、音楽プログラムのクオリティ劣化を防止しています。
4つの再生イコライザーアンプの選択と録音アンプの切換えにはトランジスタを用いた電子スイッチを採用しており、機械的構造のスイッチにない耐久性を得ています。
メカニズム部は左右対称設計となっており、両方向でのテープ走行発の同一化を実現しています。
このメカニズムではキャプスタン用DCサーボモーターで互いに逆回転する2つのフライホイールっとキャプスタンを常に回転させています。テープを定速走行させるためのキャプスタンは、常に一方はピンチローラーと無接触の状態で回転するように設計されています。これにより、固定ヘッド方式とあいまって、テープが反転して定速走行に移るまでの立ち上がり時間が短くなっており、約0.16秒のクイックリバースを可能にしています。
テープ反転時の無音時間を0.4秒以内に抑えています。
テープ反転位置の検出は、フォワード用消去ヘッドの向かい側に設定した赤外線テープセンサーで行う方式となっています。この検出位置はテープが消去ヘッド面を走ってる部分の裏側を利用いるため折れ目のついたテープなどを使用しても誤動作が無く、録音テープとリーダーテープの境目を光学的に正確に検出し、確実な動作を実現しています。
ローディングモーターの駆動にはマイコン制御を採用しており、赤外線センサーからの信号、テープ走行方向の指示を、マイコンが素早く処理してモード切換え用のローディングモーターを駆動します。
このモーターが4トラック4チャンネル固定ヘッドのトラック切換えや、ピンチローラーの圧着・離脱の動作をします。このためテープ反転時の不快な機械的なノイズが極めて少なくなっています。
走行ディレクション・メモリーを搭載しており、電源をOFFにしてもテープ走行方向を記憶しています。
テープ走行の基本メカニズムはキャプスタン駆動用とリール駆動用を独立させた2モーター式となっています。
キャプスタン用には回転数がメカニズム内の温度変化の影響を受けにくいDCサーボモーター、リール用にはDCモーターを採用しています。
ノンスリップ・リールドライブ機構を搭載しており、巻取り側のテープ張力を一定にすることで、テープの巻き量にかかわらず、テープ走行精度の変化やテープの巻ムラを防いでいます。
Lシリーズはリバース機のため、このメカニズムを左右両方に搭載しています。
ヘッドホン出力とラインアウト兼用の出力レベルコントロールを搭載しています。
タイマースタンバイメカニズムを搭載しており、別売りタイマーを用いて留守録音や目覚し再生が可能です。
録音時は1回の往復録音が終わると録音状態がストップするようになっているため、反対面の録音内容を消すことがありません。
VUメーターと3点ピークレベルインジケーターを搭載しています。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーシステムを搭載しています。
3段切換式のオートレテープセレクターと、4段切換式のマニュアルテープセレクターを搭載しています。
マニュアルはNormal、Fe-Cr、CrO2、Metalに対応しています。
オートでは検知機構が動作してノーマル、クローム、メタルテープの各タイプを検知してバイアス/イコライザーを自動的にセットします。検知孔を持たないフェリクロームテープと一部のメタルテープについてはマニュアルでセットします。
オート録音ボリュームを搭載しています。
Auto VOL.のスイッチをロックすると入力信号の最初の約10秒間をサンプリングして最大入力レベルをデジタル計測し、電子的にレベルセットします。この機構は64ステップ(ワンステップ約0.5dB)で動作します。
マイクミキシング機能を搭載しています。DR-L2ではマイクミキシング再生にも対応しています。
マイク端子は左チャンネルだけ使用した場合にはセンターマイクとして使用できます。
オートレックミュート機能を搭載しており、REC/MUTEスイッチを押すと約4秒間の無録音部を自動的に作って録音ポーズ状態となります。ポーズを解除すると録音が開始するため、この操作を繰り返すことでテープが綺麗に編集できます。
また、このスイッチを押し続けるとその間はミュート状態となり、手を離せばその位置でポーズ状態となります。
オートサーチ機構を搭載しています。
この機能では裏面まで通して両方向15曲まで自動選曲して再生できます。
テープディレクションスイッチの切換えにより、片道録音・再生、一往復のみの録音・再生、エンドレス再生が選択できます。
2点間メモリーリピート機能を搭載しています。
この機能ではマイコンが初めと終わりの2点を記憶し、この2点間を繰り返し再生します。この機能はA面-B面をまたがっても動作します。
ワイヤードタイプのリモコンユニットが別売りオプションとしてありました。
機種の定格
型式 | カセットデッキ |
トラック方式 | 4トラック2チャンネルステレオ・オートリバース |
テープセレクター | オート:Normal、CrO2、Metal マニュアル:Normal、Fe-Cr、CrO2、Metal |
ヘッド | 録再:4トラック4チャンネルハードパーマロイヘッド 消去:ダブルギャップx2 |
モーター | キャプスタン用:ハイトルクDCサーボモーター リール用:DCモーター ローディング用:DCモーター |
ワウ・フラッター | 0.045%Wrms(JIS) |
早巻時間 | 約90秒(C-60) |
総合周波数特性 | Metal:20Hz~19kHz(35Hz~17kHz ±3dB) |
総合SN比 | 65dB(Dolby NR on) |
総合3次高調波歪率 | 0.7%以下(Normalテープ) |
入力端子 | Mic:0.35mV/10kΩ不平衡(10kΩ以下のマイクに適合) Line:70mV/50kΩ不平衡 |
出力端子(Vol.max) | Line:490mV(10kΩ負荷時) Headphone:1mW(8Ω負荷時、8Ω~2kΩのヘッドホンに適合) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 23W |
外形寸法 | 幅434x高さ117x奥行300mm |
重量 | 7.0kg |
別売:リモコンユニット RC-60(¥6,000) | |
コード長 | 3m |
外形寸法 | 幅38x高さ17x奥行120mm |
重量 | 約160g(コード含む) |