オーディオの足跡

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DP-100の画像
 解説 

DENONのプレイヤーテクノロジーの全てを集大成して開発されたアームレスレコードプレイヤー。

駆動モーターには放送局プレイヤー用として回蓮し、カッティングマシーン用にも使用されている10kg-cmのトルクを持つ重量10kgのアウトロースター形3相ACサーボモーターを採用しています。この強力なモーターによって重量6.5kg、慣性モーメント1,260kg-cm2の二重構造ターンテーブルをスタートからわずか0.4秒で33・1/3回転に立ち上がらせています。
AC3相駆動方式の採用によって振動や逆転トルクの原因となる回転磁界の3次高調波を打ち消すことが可能としています。さらにローター、ステーター間にギャップの差があっても間の磁束が常に均一となるような巻線方式の採用と、フレームまでを含めた一貫した耐振構造によって高いSN比を達成しています。
シャフト部には直径14mmの特殊ステンレス鋼を使用しており、熱処理と高精密研磨を施した後、ラップ仕上げが施されています。
ラジアル軸受には特殊合金を使用しており、ラップ仕上げすることによって滑らかな回転を得ています。また、回転系全体を支えるスラスト軸受には鏡面仕上げしたサファイア軸受を使用することで高い耐久性を獲得しています。
予期しない外力によるトラブルを防止するため安全機構を搭載しており、ターンテーブルに約50kg以上荷重が加わった場合に動作してサファイア軸受などの破損を防止しています。

ターンテーブルにはDP-80等に搭載された二重構造ターンテーブルをさらに発展させて搭載しています。
構造的には上部と下部のターンテーブルをスプリングとフルード(液体)ダンパーで連結し、下部はモーターのローターに固定されています。これによりレコードを乗せる上部はモーターやフレームから振動的に遮断された構造となり、上部ターンテーブルの質量とスプリングのコンプライアンスによってハイカットフィルターを形成しています。
また、スピーカーから直接レコードや上部ターンテーブルに伝わる音圧によって生じるアコースティックフィードバックの悪影響も、両ターンテーブルの質量の違いによる振動モードの差、両ターンテーブル間のフルードダンパー、振動吸収効果の高いターンテーブルシートなどによって解消しています。
これらの対策によって有害な振動を排除することで音のカラリゼーションを追放しています。また、レコードの重低音域部分などで反対チャンネルに影響を与えてクロストークを劣化させ、音像を不明瞭になるなどの問題も解消しています。
上部と下部のターンテーブルは回転方向には一体構造となっています。

サーボ機構にはDENONクォーツとPLLシンセサイザーICを組み合わせたダブルPLLサーボ方式を採用しています。
DENONクォーツでは1000個のパルス信号を応用するDENON独自の磁気記録検出方式を発展させて採用しており、パルス検出用ヘッド2個を対向する2ヶ所につけています。これにより磁気パルス記録面の極僅かな偏心も相互にキャンセルする効果が得られ、精度の高い検出信号をピックアップできます。そして、得られた信号の位相と基準発振器(水晶)によって発生する信号の位相を比較して回転スピードをよりシビアに制御できる強力な両方向サーボ機構を実現しています。また、ワウフラッター現象が最も顕著に検知できるターンテーブル外周で速度検出する高度な方式となっています。
ダブルPLLサーボ方式ではクォーツ発振器の精度を維持しながら発振周波数を正確に変え、その周波数をモーターサーボ系の位相比較回路の基準周波数として使用します。また、クォーツロックされた状態でピッチコントロールすることが可能となっています。
ピッチコントロール回路はデジタル表示器と組み合わせ、各規定回転数時において0.1%ピッチ(半音=5.9%)の精度でhigh9.9~low9.9%まで正確なピッチを設定できます。
この強力なサーボ機構によって耐負荷特性も針圧換算で1.5kgを獲得しています。

フレームには総重量13kgの厚肉アルミ鋳物を使用するとともに床や音圧の影響を受けにくい構造としています。
さらにサーボ回路や各種コントロール回路、トランス等をフローティングさせて取り付け、同時に振動やノイズの面からも配慮して配置されています。

インシュレーターにはスプリングとフルードダンパーで構成された堅固なインシュレーターを採用しています。
低域のカットオフ周波数を3.5kgに設定し、床からフレーム本体に伝わる振動を防止するとともにインシュレーターによる固有振動やフレーム鳴きもフルードダンパーで防止しています。

アームボードは内外のロングタイプトーンアームの取り付けを可能にしたアームボード交換方式を採用しています。アームボードはアルミ鋳物製で、ボード自体をフローティング方式とすることで強固な防振構造を実現しています。
アームボードのフローティングは構造的にはターンテーブルと同様のものとなっており、スプリングとフルードダンパーによってフレームからの振動を排除し、アコースティックフィードバックによる外乱エネルギーやアームボードの振動をも吸収・減衰させています。
交換用のアームボードは別売りで受注生産となっていました。
DP-100/DP-100Mには別売りオプションとして専用設計のターンテーブルケースDK-1000がありました。
このケースの材質・構造・重量により、音圧の影響を低減する事が可能です。外観は天然木の鏡面仕上げが施されており、ダストカバーにはブロンズスモークド強化ガラス製のダストカバーを採用しています。

機種の定格
型式 ダブルPLLサーボターンテーブル
<フォノモーター>
駆動方式 両方向サーボ・ダイレクトドライブ
モーター アウトロースター形3相ACサーボモーター
スピード制御方式 周波数検出によるスピードサーボ及び位相サーボ
回転数 33・1/3、45、78rpm
回転数偏差 0.002%以下
回転数可変範囲 規定スピードに対して±9.9%(0.1%ピッチ)
回転数微調整時もスピードサーボ及び位相サーボ
スピード切換 電子式
ワウ・フラッター 0.003%w.rms以下(回転系)
0.02%w.rms以下(JIS)
SN比 90dB以上(DIN-B)
起動トルク 10kg-cm
起動時間 0.4秒以内(33・1/3)
負荷特性 0%(最外周針圧1.5kgの負荷に対して)
電源電圧特性 90~110Vに対し0%
ブレーキ 電子式ブレーキ
ターンテーブル 33cm、上部・下部共アルミダイカスト製、6.5kg
フルードダンプ方式の二重構造
慣性モーメント 1,260kg-cm2(ローター等を含む)
<総合>
フレーム アルミ鋳物製
インシュレーター コイルスプリングとフルードダンピング
アームボード 交換方式、アルミ鋳物製
フルードダンプ方式フローティング
有効長282mm~292mmのトーンアームが取り付け可能
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 25W
外形寸法 幅570x高さ285x奥行465mm
重量 約46kg
別売 専用ターンテーブルケース DK-1000(¥200,000、受注生産)
交換用アームボード AB-100(¥18,000、受注生産)