DENON PRA-1003
¥93,000(1977年頃)
解説
レコード再生に重要なイコライザーアンプを徹底的に見直したコントロールアンプ。
イコライザーアンプ部にはICL全段直結構成を採用しており、結合コンデンサーは出力端子にのみ設け、入力端子をはじめ段間には結合コンデンサーを使用していません。これによりより忠実な波形伝送を可能にしています。また、RIAA-NFB(負帰還)素子には±1%級の金属被膜抵抗とポリプロピレンコンデンサーを使用し、高い精度の特性を確保しています。
初段は超ローノイズFETトランジスタを並列に用いて雑音発生を十分に抑え、4つのトランジスタを用いて差動増幅を構成し、エミッターフォロワートランジスタで受けています。これにより入力換算ノイズレベル-138dB(V)を実現し、高S/Nを実現しています。
エミッターフォロワー出力はA級プッシュプルによるカレントミラー形差動回路で増幅され、純コンプリメンタリープッシュプルの出力段をドライブします。この出力段の電源は±38Vの高圧となっており、コレクター損失(Pc)0.8W級の出力トランジスタと、歪を打ち消し合うカレントミラー構成などが相まって最大出力20Vrmsという高い飽和レベルを実現しています。
Phono2にはインピーダンス切換え機能を搭載しており、カートリッジの性能に合わせて切換えできます。
各入力端子はコードが接続されていない時はアースされており、不快な雑音を防止しています。
また、メッキの劣化で起こりやすい接触雑音を防止するため、全ての入出力端子の接触面を金メッキしています。このメッキには普通のメッキよりも約2倍厚い0.5ミクロンとなっており、摩耗による劣化を抑えています。
3系統のテープデッキを接続できます。Tape3の入出力端子は前面に設けられており、容易に接続できるように配慮されています。
Phono/Tuner/Auxからのソースをスピーカーで聞きながら同時に3台のデッキに録音できます。また、Aux/Tunerを聞きながらPhono1の録音や、Aux/Phonoを聞きながらTunerを録音できます。
テープ同士のコピーは1→2/3同時、2→1、3→1の3つの形ができます。
フラットアンプ部は利得16.5dBとなっており、通常は90dBの純NFBがかかったフラットアンプですが、トーンコントロールを必要とする場合にはNFB抵抗がトーンコントロールリアクタンスに切換えられます。
回路は初段がPNP型の差動増幅、次段がNPN型によるカレントミラー型差動増幅、終段がA級純コンプリメンタリープッシュプルとなっており、片チャンネル7石構成となっています。
アッテネーターには21クリック・ストッパー付きの2dBステップ型を採用しています。
このアッテネーターは音量を絞った時に高域特性が劣化しない特殊設計となっています。また、左右のエレメントの間に大きく間隙を設けてシールドした特殊構造を採用しており、チャンネル間の干渉を排除しています。
イコライザーアンプのユニットを左右完全に分離し、同時にシールド板でチャンネル間の静電的干渉を排除しています。また、後続のスイッチ関係も6回路型の中央2回路を遊ばせて接地するなどクロストーク改善を図っています。
電源ON-OFFを感知して出力リレーを作動させるミューティング増幅・保持回路には新しいエミッター接地2段増幅回路を採用しています。この回路では直流正帰還を行い、初期作動電流を大きくし、リレー感動電圧のバラつきからくるリレーの動作遅れを無くしています。これによりアンプ回路全体の充放電によって生じるポップノイズを防いでいます。
ミューティングタイムは約8秒となっています。
モニター用に本格的ヘッドホンアンプを搭載しています。
機種の定格
型式 | コントロールアンプ | ||
<MC/MMイコライザーアンプ部(Phono in~Rec out)> | |||
入力感度/インピーダンス | Phono1:2.5mV/50kΩ Phono2:2.5mV/30kΩ、50kΩ、100kΩ |
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最大許容入力 | 320mV(1kHz) | ||
最大出力 | 20V | ||
定格出力 | 150mV | ||
全高調波歪率 |
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RIAA偏差 | 20Hz~20kHz ±0.2dB | ||
SN比(IHF-Aネットワーク) | 86dB | ||
クロストーク | -100dB以下(20Hz、1kHz) -90dB以下(20kHz) |
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ゲイン | 35.6dB(1kHz) | ||
<フラットアンプ部(CD in~Pre out)> | |||
入力感度/インピーダンス | Tuner、Aux:150mV/50kΩ Tape PB:150mV/50kΩ |
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最大出力 | 10V | ||
定格出力 | 1V | ||
全高調波歪率 |
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伝送周波数特性 | 10Hz~100kHz +0 -1dB 20Hz~20kHz ±0.5dB(Tone平坦時) |
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SN比(IHF-Aネットワーク) | 100dB以上 | ||
クロストーク | -100dB以下(20Hz、1kHz) -85dB以下(20kHz) |
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ゲインコントロール | 0、-10、-20dB(0dB=16.5dB) | ||
テープモニター | 3系統 | ||
テープコピー | 1→3、2 2→1 3→1 |
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トーンコントロール | Bass:±10dB(50Hz) Treble:±10dB(20kHz) |
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フィルターアンプ | Low:20Hz、18dB/oct High:9kHz、6dB/oct |
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<総合> | |||
クロストーク | -100dB(20Hz、1kHz) -80dB(20kHz) |
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使用半導体 | 2SC1775x15個 2SA726x9個 2SA872x11個 2SC1313x5個 2SC1735x2個 2SA850x2個 2SC1626x1個 2SA816x1個 2SK68Ax8個 ICx1個 ダイオードx30個 |
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電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||
消費電力 | 9W(電気用品取締法) | ||
外形寸法 | 幅410x高さ170x奥行270mm(つまみ類、足含む) | ||
重量 | 7kg |