DENON POA-1000B
※受注生産品
¥395,000(1976年頃)
解説
管球式アンプとしての性能の限界と機能美の極限を追求したステレオパワーアンプ。
新しい巻線構造を採用した新開発の出力トランスを採用しており、伝送帯域を拡大すると共に超高域での暴れを抑えています。
また、出力管には電力増幅ビーム五極管である6GB8を採用しています。
回路構成は、初期増幅段と位相反転からなる電圧増幅2段と、ドライバーと出力管からなる電力増幅2段の合計4段構成となっています。
初期増幅には低雑音ECC-83(1/2)を採用しており、位相反転には中増幅率の双三極管12AX7(またはECC-81)によるカソード結合型反転回路を構成しています。初段管との間は直接結合となっており、大きな負帰還に備えて超低域位相補償回路が挿入されています。
ドライバー段は低内部抵抗と高プレート損失・高耐圧の双三極管12BH7Aを用いてカソードフォロワーを構成しています。パワー管6GB8との間は直接結合となっており、6GB8のAB2級の動作を確実なものにしています。
6GB8にはカソードNFBを約6dBかけており、さらに出力トランスの二次側から初段ECC-83(または12AX7)のカソードに28dBのNFBをかけています。大量のNFBと多重負帰還方式によって良好な性能を確保しています。
さらに6GB8の第2グリッド及びドライバー管への供給B電圧を厳しく安定化させることで低出力時から最大出力まで確実な動作を実現し、低歪率を得ています。6GB8へのプレート供給電圧592Vは約8Vの大型パワートランスとシリコンダイオード全波整流による電源回路で作られています。また、12BH7Aと6GB8のグリッドバイアスは独立C電源となっています。
初期増幅の直前に2dBステップの左右独立式のレベルコントロールを搭載しています。
このレベルコントロールには金属皮膜抵抗を用いています。
DCバランサーを搭載しており、前面のメーターとバイアスアジャスターから出力管のカソード電流のチェックや調整が行えます。
ピークレベルメーターを搭載しています。
サブソニックフィルターを搭載しています。
POA-1000BではECC-83(または12AX7)(1/2)を用いたアクティブ型フィルターを採用しています。
左右チャンネルを並列接続する事で定格出力200Wのモノラルパワーアンプとして使用ができます。
機種の定格
型式 | 管球式ステレオパワーアンプ |
回路方式 | 初段1段増幅、カソード結合形位相反転、カソードフォロワー形ドライバー、ビーム管多重NFB・AB2プッシュプル出力段 アクティブ形サブソニックフィルター付き |
定格出力(両ch駆動、正弦波連続出力) | 110W+110W(1kHz) 100W+100W(20Hz~20kHz) |
出力帯域幅(両ch駆動、IHF) | 15Hz~70kHz(THD 0.5%) |
全高調波歪率(定格出力時) | 0.2%以下(1kHz) 0.5%以下(20Hz~20kHz) |
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) | 0.8%以下 |
出力端子 | 4、8、16Ω |
出力インピーダンス | 0.5Ω以下(8Ω) |
残留雑音 | 0.5mVrms以下(8Ω) |
入力感度/インピーダンス | 1Vrms/250kΩ |
周波数特性 | 5Hz~150kHz +0 -3dB |
クロストーク(Line in~Speaker out) | -95dB以下(1kHz) |
フィルター(ローカットフィルター) | 18Hz、-18dB/oct |
ピークレベルメーター | 指示範囲:-55dB~+5dB(対数圧縮、-50dBまで等間隔目盛り) 基準レベル(0dB):正弦波100W相当波高値 |
その他 | 終段DCバランス調整可能(ピークメーターをチェックメーターに兼用) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 320W(電気用品取締法) |
外形寸法 | 幅410x高さ217x奥行386mm |
重量 | 34kg |