DENON PMA-770
¥98,000(1981年頃)
解説
無帰還0dBアンプやダイレクトA方式、スーパーイコライザーなどの独自の技術を投入して開発されたプリメインアンプ。
MC入力端子からスピーカー出力端子まで、主信号経路に一本のコンデンサーも使わない全段コンデンサーレス(完全DC構成)とし、徹底的に信号経路をピュア&ハイスピード化しています。
この完全コンデンサーレス構成は、PMA-970やPMA-950に搭載しているダイレクトDCサーボ回路を採用することでDCドリフトを抑え、超低域の安定性を確保しています。
MC/MMスーパーイコライザーを搭載しており、高級カートリッジの高域再生限界周波数を超える20Hz~100kHz
±0.2dBという優れたRIAA偏差特性を獲得しています。
構成は新開発ローノイズ・デュアルFETによるNF形DCアンプとCR形イコライジングフィルターからなり、初段はダイレクトDCサーボ方式のデュアルFETによるパラレル差動増幅という構成になっています。
パワーアンプ部には無帰還0dBアンプを採用しています。
無帰還0dBアンプは、主アンプの出力側から得られる信号(主信号+歪成分等)を、ダイレクトディストーションサーボ回路で入力信号と比較し、入力信号以外の成分(歪、雑音など)を取り出します。
この歪成分はダイレクトディストーションサーボ回路で増幅され、さらに位相反転され、主アンプの入力側に加えられます。これによって歪成分を打消し、静的歪を抑えています。
さらに無帰還0dBアンプでは、信号が一方向のみに流れるダイレクトパスなため動的歪が発生しません。また、ダイレクトディストーションサーボ回路の効果で静的歪以外のノイズ成分も入力信号の差としてキャンセルできています。さらに、電圧増幅段と電力増幅段を分離するバッファー−(エミッタホロワー)を設計し、しかもNFBループが無いため電圧増幅段がスピーカーの影響を受けず、さらにNFBによる余分な増幅度を必要としないため伝雑増幅段がシンプルに構成できるなど、様々な特長を持っています。
パワーアンプ部の回路構成は、初段ローノイズFETによる差動3段カレントミラーとし、コンプリメンタリー・エミッタホロワーによってローインピーダンス化を図り、電力増幅段と完全に分離しています。
また、電力増幅段は高速パワートランジスタ2パラレルプッシュプルの出力段とし、出力端子からは電圧増幅部の初段へオーバーオールにダイレクトDCサーボをかけ、DCドリフトを抑え、超低域の安定化を図っています。
さらに、出力段にはDENONオリジナルのゼロクロス・リニアバイアス回路を採用しており、パワートランジスタのカットオフによるスイッチング歪の発生を解消しています。
スピーカー実負荷時の歪を低減するため、リアルドライブ回路を搭載しています。
リアルドライブ回路では、電子素子によるリアルドライブ・ラインを設定し、A.S.O.(Area
of Safety Operating:安全動作領域)ラインと極めて接近した保護ラインとしたため、大出力時にスピーカー負荷動作ラインが大きくなっても、保護ラインとsえっ食せず、トランジスタの性能のギリギリまでハイパワードライブする事が可能となっています。
これによりスピーカー実負荷時の歪率を約1/50に低減しています。
イコライザーアンプとパワーアンプをアルミ・ラジエーターによって分離させ、相互干渉を排除しています。
また、入力切換えはリモートコントロールとしてワイヤリングの短縮化を図っています。
電源部には電圧変動率やリーケージフラックスを重視した大型トロイダルトランスと、44,000μFの大容量コンデンサーを採用しています。
トーンコントロールにはリアルタイム・トーンコントロールを採用しています。
これは、トーンコントロールに必要な受動素子だけで構成されており、トーン回路自体の歪率やS/Nの問題が無く、主回路への影響を抑えています。
前面パネルのスイッチ操作によりMC2本またはMM2本の比較試聴も可能です。
Rec outセレクターやサブソニックフィルター、ダイレクトカップルスイッチ、ステレオリバース再生やモノラル再生が可能なモードスイッチ、ラウドネスコントロール・スイッチを搭載しています。
高速プロテクション回路を搭載しています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
<パワーアンプ部> | |
回路方式 | 無帰還0dBパワーアンプ方式 |
定格出力(両ch駆動、 正弦波連続出力、20Hz~20kHz) |
140W+140W(4Ω) 100W+100W(8Ω) |
入力感度/インピーダンス | 150mV/47kΩ |
全高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.005%以下(定格出力-3dB時) |
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) | 0.002%以下(定格出力相当振幅出力時) |
出力帯域幅(IHF、両ch駆動、THD 0.035%) | 5Hz~100kHz |
周波数特性(1W出力時) | 1Hz~250kHz +0 -3dB |
出力インピーダンス(1kHz) | 0.08Ω |
出力端子 | スピーカーAorB:4Ω~16Ω スピーカーA+B:8Ω~16Ω ヘッドホン:390mW/8Ω |
<プリアンプ部(入力感度/インピーダンスを除きPhono in →Rec out)> | |
回路方式 | ダイレクトDCサーボによるスーパーイコライザー方式 |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ Phono MC:0.125mV/100Ω Tuner、Aux、Tape:150mV/47kΩ |
最大出力/定格出力 | 10V/150mV |
RIAA偏差(MC/MM共) | 20Hz~100kHz ±0.2dB |
全高調波歪率 | 0.002%以下(1kHz、8V出力時) |
<総合> | |
SN比(IHF-A、入力短絡) | Phono MM:90dB Phono MC:73dB Tuner、Aux、Tape:110dB(150mV入力時) |
トーンコントロール | Bass:±8dB(100Hz) Treble:±8dB(10kHz) |
サブソニックフィルター | 18Hz、6dB/oct |
ラウドネス特性 | 低域:+7dB(100Hz) 高域:+6dB(10kHz) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力(電気用品取締法) | 290W |
外形寸法 | 幅434x高さ132x奥行407mm |
重量 | 12kg |