DENON PMA-235
¥66,500(1975年頃)
解説
The wide range response(広範囲応答性)を重視して開発されたプリメインアンプ。
PMA-235では単に周波数対増幅度特性が良いというだけでなく、出力帯域幅をはじめ、入出力インピーダンスや位相、過渡特性、クロストークなどのあらゆる物理特性を含めて、耳に聴こえない領域まで入念に検討して設計されています。
パワーアンプ部の出力段にはアメリカ・モトローラ社のダーリントン・パワートランジスタを用いたピュアコンプリメンタリー回路を採用しています。差動増幅全段直結OCL回路や放熱効果のいい大型ラジエーター、強力な電源回路を組み合わせることで正弦波連続定格出力に余裕を持たせ、安定した設計となっています。
電源部には漏洩磁束やうなりが少ない三重磁気シールドのパワートランスと、大容量電源コンデンサーを搭載しています。
イコライザーアンプ部には低雑音高耐圧NPN型トランジスタを用いた3段直結エミッター-エミッター負帰還型の回路を採用しており、リップル電圧や電圧変動の無い安定化電源を用いて53Vの高電圧で作動させています。これでイコライザーアンプの裸利得を高く、最大出力レベルを大きくでき、1kHz最大許容入力200mVrms以上を確保しています。
大きな裸利得は深い負帰還をかけることができ、RIAA負帰還の不足によって生じる高域のはねあがり現象を抑えています。さらにこの負帰還回路には誤差±1%いないのフィルムコンデンサーと±2%いないの無誘導抵抗を使用しており、良好なRIAA偏差を実現しています。同時に直流負帰還も採用しており、超低域過渡特性やSN比、調波歪率の向上と耳に聴こえない領域までの高精度を保証しています。
コントロールアンプ部にはNPN-FET-NPNトランジスタで構成された3段直結回路を採用しています。
さらに新考案のトーンコントロール負帰還回路を盛り込み、Bass、Trebleともにつまみがセンタ一で自動的にディフィートされるようになっています。これにより独立したディフィートスイッチを排除し、ディフィート時の周波数特性は5Hz~300kHzまでフラットと、飛躍的に向上しています。
ローフィルターはオーディオ低域特性に影響を及ぼさないようカットオフ周波数をできるだけ低く20Hzに設定しています。また減衰特性はトランジスタを用いたアクティブ型とすることで12dBの特性となっています。
このフィルター回路はOFFの状態ではトランジスタ回路はディフィートされます。
ハイフィルターはシンプルなオクターブ6dBのと特性となっています。
内部構造は電源トランスを後部中央に置き、出力段の大型ラジエーターが左右に並ぶレイアウトを採用しています。これにより放熱対流効果を高めるとともに構造上の無駄を省き、電気的には左右チャンネルのバランスやセパレーションを向上させています。
パワー段をより安定化しスピーカーの真価を十分に引き出すため、線材や接点まで材質を厳選し、出力インピーダンスを低くしています。
また、スピーカー端子には確実な接続が可能で接触抵抗の小さいねじ構造端子を採用しています。
スピーカー端子の短絡などの誤操作に対応するため、パワートランジスタの破損を防ぐ応答速度の極めて速い独自のプロテクション回路を内蔵しています。
全てのプリント基板に銅張積層の自己消炎性のものを採用しており、熱と経時変化に強い合成ゴム被覆の電源コードを用いるなど、安全性に配慮した設計となっています。
回路の至る所に選別ランクの高いタンタルコンデンサーを採用しており、切替えノイズを低減しています。
別売りオプションでウッドキャビネットがありました。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ | ||
<パワーアンプ部> | |||
回路方式 | 純コンプリメンタリー全段直結2電源OCL回路 | ||
ダイナミックパワー(IHF) | 160W(80W+80W、4Ω) 108W(54W+54W、8Ω) |
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定格出力(両ch駆動、正弦波連続出力) | 50W+50W(4Ω、1kHz) 40W+40W(8Ω、1kHz) 43W+43W(4Ω、20Hz~20kHz) 35W+35W(8Ω、20Hz~20kHz) |
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全高調波歪率 | 0.08%以下(定格出力時) | ||
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) | 0.1%以下 | ||
パワーバンドウィズ(IHF、両ch駆動) | 5Hz~45kHz | ||
周波数特性 | 5Hz~200kHz +0 -1dB | ||
入力感度 | 1Vrms | ||
入力インピーダンス | 80kΩ | ||
出力インピーダンス | 0.16Ω以下 | ||
残留雑音 | 0.3mVrms以下 | ||
出力端子 | スピーカー端子 A、B:4Ω~16Ω ヘッドホン端子:4Ω~16Ω適合 |
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<プリアンプ部> | |||
入力感度/インピーダンス | Phono1:2.3mVrms/60kΩ Phono2:2.3mVrms/30kΩ Tuner、Tape:150mVrms/70kΩ Aux:150mVrms/40kΩ |
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イコライザーアンプ部(Phono~Rec out) | |||
回路方式 | NPNトランジスタ3段直結E-E帰還型 | ||
最大許容入力 | 200mVrms以上(1kHz) | ||
最大出力 | 20Vpeak | ||
定格出力 | 150mVrms | ||
全高調波歪率 | 0.02%以下(定格出力時、1kHz) | ||
Rec out適合負荷インピーダンス | 100kΩ以上 | ||
RIAA偏差 | 20Hz~20kHz +0.15 -0.3dB以内 | ||
トーンアンプ部(Aux~Pre out) | |||
回路方式 | NPN、PNP、NPNトランジスタ3段直結NFB型 | ||
全高調波歪率 | 0.02%以下(定格出力時、1kHz) | ||
Pre out適合負荷インピーダンス | 100kΩ以内 | ||
周波数特性(Tone defeat時) | 5Hz~300kHz +0 -1dB | ||
トーンコントロール可変範囲 | Bass:80Hz ±10dB、ターンオーバー周波数 400Hz Treble:12kHz ±10dB、ターンオーバー周波数 2.5kHz |
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フィルター特性 | Low:20Hz、12dB/oct High:8kHz、6dB/oct |
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ラウドネスコントロール特性(1kHzのレベルに対して) | Low:100Hz +8.5dB High:10kHz +4.0dB |
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ミューティング(0dB時のレベルに対して) | -20dB | ||
総合特性 | |||
伝送周波数特性 | Phono in ~ Speaker out:20Hz~20kHz +0.15 -0.4dB Aux in ~ Speaker out:20Hz~20kHz +0 -0.3dB |
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全高調波歪率 | Phono in ~ Speaker out:20Hz~20kHz 0.1%以下 | ||
S/N比(IHF、入力短絡、Aネットワーク使用) | Phono1、2:75dB以上 Tuner、Aux、Tape:80dB以上 |
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チャンネルセパレーション |
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電源コンセント | switched:2系統、250W unswitched:1系統、150W |
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電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||
消費電力 | 100W(電気用品取締法) | ||
外形寸法 | 幅396x高さ147x奥行281mm | ||
重量 | 11kg | ||
別売 | ウッドキャビネット ACA-5(¥5,000) |