オーディオの足跡

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SA-5000の画像
 解説 

ハイブリッド技術の集大成として開発されたカウンターポイント最高峰のプリアンプ。

プリアンプでは、容量や誘導特性のまちまちなケーブルが接続されたり、音量やバランスコントロールなどの抵抗負荷をかけられるなどの信号純度を曇らせる要素をかかえています。また、RIAA復調ネットワーク回路も過酷な対応を要求する要素といえます。SA-5000はこれらの負荷条件と真空管との間に緩衝をも受けることで真空管の負担軽減を図り、真空管のパフォーマンスを維持しています。
具体的にはFET/バイポーラトランジスタで構成される広帯域電流アンプを全真空管段にバッファーとして採用しており、これに信号増幅以外の役割を持たせることで負担を軽減しています。これにより真空管の真価を発揮できるだけでなく、様々な歪の低減や反応の高速化も実現しています。

一般的な真空管による信号増幅はグリッド側を入力としていましたが、SA-5000のPhonoとLineの電圧増幅段では信号移送の維持と歪の低減を期して、カソード入力を使用しています。
真空管のマッチングを完璧にとるとともに一方の真空管のカソード入力ともう一方の真空管のカソード出力とのコンプリメンタリーな性質を利用することでグローバルフィードバックを用いずに歪をキャンセルしています。

出力部はダイレクトとバッファーの2種類が選択できるよう設計されています。
ダイレクトでは出力管から出力コンデンサーのみを経由して出力され、バッファーではラインドライバーのバッファーアンプを経由して出力されます。バッファー出力はダイレクト出力より低インピーダンスとなっており、パワーアンプへのケーブルを長く引き回す場合でも安定した伝送特性を発揮できます。

真空管には微小信号の増幅に秀でた3極管6DJ8をはじめとして、合計7本が使用されています。
これらの真空管は一本一本に対してカウンターポイントオリジナルのチェックボード上で160時間に及ぶエージングが施されています。さらにオーディオプレシジョン社のコンピューターによってマイクロフォニック雑音等をチェックし、さらにマウントした状態でもう一度ノイズや歪、増幅能力をチェックされ、合計200時間のエージングを経て使用しています。

電源部は別ユニット構造となっており、電源部との緩衝を排除しています。
電源ユニットは6CA4整流管や定電圧レギュレーター等から構成されており、本体と同一のシャーシ素材で作られています。
本体のレディスイッチをオンにすると、このユニットにDC電源が供給されます。本体はヒーターの高電圧サプライを除いて常に通電状態となる設計になっており、真空管へのストレスを軽減し、長寿命化を図っています。
電源部に使用されたトロイダルトランスはカリフォルニア州サンディエゴの自社工場で設計・製造されたもので、ハンドワインディングされたオリジナル品となっています。

基板のマウント方法まで徹底したシャーシ構造を採用しています。
メインオーディオ基板は250x400mm、3mm厚の冷間圧延スチールに銅メッキを施したサブシャーシへビス13個でしっかりと固定するフローティング構造となっており、これによってあらゆる物理的振動から信号経路をアイソレートしています。また、振動を伴う部品は基板の外に置き、スイッチやリレーに起因するマイクロフォニックノイズを排除しています。
メインシャーシはフロントパネルと同じアルミニウム無垢材を採用しています。また、サブシャーシの銅メッキスチール材は10Hz以下からギガヘルツ帯域の広範囲にわたって電磁干渉をシールディングすることが可能です。

オーディオ基板には合計16個の緑色LED、コントロール基板に赤色LED1個を備えており、各部の動作状態が一目で確認できます。

バッファー出力用に3段切換式のレベルコントロールを搭載しており、高効率なホーンスピーカーによる大音量再生においてノイズレベルを抑えたり、ボリューム調整に先立って総音量を絞る場合に使用できます。
また、左右チャンネル独立したバランストリマーを搭載しており、左右チャンネルのバランスを精密に調整できます。

MC負荷セレクターを搭載しており、100Ω、300Ω、47kΩの他、抵抗を基板上へプラグインして好みの抵抗値を選択することができます。
MMとMCの切換は内部スイッチで行います。

機種の定格
ステレオコントロールアンプ
入力感度 Phono MC:31μV
Phono MM:1.3mV
Line:37mV
入力インピーダンス Phono MC:47kΩ、300Ω、100Ω、ユーザー設定値
Phono MM:47kΩ
Line:15kΩ
最大入力レベル Phono MC:10mV
Phono MM:400mV
Line:12V
出力インピーダンス ダイレクト出力:3.5kΩ
バッファー出力:75Ω
テープ出力:10Ω
最大出力レベル 32Vp-p(THD 1%、20Hz~20kHz)
ゲイン(1kHz) Phono MC:84dB
Phono MM:52dB
Line:23dB
歪率(IHF)
Phono MC:

Phono MM:

Line:
0.40%(20Hz~20kHz)
0.09%(20Hz~4kHz)
0.2%(20Hz~20kHz)
0.035%(20Hz~4kHz)
0.007%(20Hz~20kHz)
周波数特性
Phono MC:

Phono MM:

バッファー出力:

ダイレクト出力:
10Hz~100kHz +0.1 -3dB
10Hz~80kHz +0.1 -0.3dB
10Hz~100kHz +0.1 -3dB
10Hz~80kHz +0.1 -0.3dB
2Hz~300kHz +0.0 -3.0dB
8Hz~50kHz +0.0 -0.1dB
10Hz~80kHz +0.0 -3.0dB
20Hz~10kHz +0.0 -0.1dB
SN比(10Hz~500kHz) Phono MC:80dB(0.5mV基準、EIA-WTD、ノイズ55μV)
Phono MM:76dB(5.0mV基準、EIA-WTD、ノイズ30μV)
Line:90dB(0.5V基準、EIA-WTD、ノイズ15μV)
使用真空管 オーディオ増幅用 6DJ8x4本
高電圧レギュレーター用 6DJ8x2本
高電圧レギュレーター・エラーアンプ用 12AX7x1
整流用 6CA4x1
推奨ヒューズ 電源:2-1/2A AGC 3AGサイズ・ファストブロータイプ
高電圧:1A 8AGサイズ・ファストブロータイプ
電源 AC88V~133V、50Hz/60Hz
消費電力 55W(スタンバイ時)
80W(動作時)
外形寸法 本体:幅483x高さ130x奥行322mm
電源:幅148x高さ130x奥行315mm
重量 本体:12.7kg
電源:5.5kg