オーディオの足跡

PR:ヤフオク!で中古オーディオを検索

T2Pro/T2dの画像
 解説 

ニール・グラント氏が設計した大型モニタースピーカーシステム。

ニール・グラント氏は、1985年に発足した英国音響コンサルタント組織であるハリス・グラント・アソシエイツの主宰音響設計エンジニアで、ジェネシスのピーターガブリエル氏の個人スタジオの設計や、BBCのメイダベールスタジオのコンサルタントなどに携わりました。

T2は、声を自然に再現するため250Hzから2.5kHzを一つのドライバーに受け持たせ、クロスオーバーポイントをから分離させています。また、音場定位を重要視し、しかもピーク時において130dBの音圧というスタジオでの過酷な使用に耐えるため、直径10cmのドームとしたミッドレンジドライバーを中心に設計されています。
また、アクティブクロスオーバーを用いたプロスタジオユースのT2Proと、パッシブクロスオーバーを用いたT2dの2種類があります。

中域には10cmドーム型ミッドレンジを搭載しています。
このユニットの振動板には、有害な共振を避けるためソフトドームを採用しています。また、適度な重量と強度のバランス、耐熱性、耐久性を得るため3種類のコンパウンドを6層使用しており、成型された布製ベースの両側に施す事で13層構造となってます。
また、磁気回路にはコバルトを主体とした直径17cm、深さ10cm、重量16kgの大型マグネットを採用しています。このマグネットのポールの先端とトッププレートは、高純度のソフトアイロンやスウェーデン鋼の一種である高純度低炭素鋼のレムコBで作られてます。また、リターンサーキットマグネット全体が一本のENIA低炭素金属棒から作られており、2~3個の部品から出来ているリターンサーキットの接合部分によって引き起こされる磁気抵抗を防ぐ役割を果しています。
このマグネットによって得られるフラックスデンシティによってさらに深いマグネティックギャップを使用することが可能になり、ポールチップ加工技術の進歩により、広く安定してシンメトリックな磁場を得ることができ、低歪を実現しています。

高域には3.8cmソフトドーム型トゥイーターを搭載しています。
トゥイーターには直径12cm、深さ9cm、重量14kgのコバルト系マグネットを採用しています。

ミッドレンジユニットとトゥイーターユニットは、一体成形の8字形マウンティングフレームに固定されており、360度真円のノンディフラクショナルホーンロードが少しだけかかることで音圧を上げています。

低域には31cmコーン型ウーファーを2個搭載しています。
このユニットは、周波数特性・音質・耐久性などを考慮し、アメリカ、日本、イギリス、ヨーロッパのあらゆるドライバーを試験した中から厳選して採用しています。

パッシブクロスオーバーの各クロスオーバーモジュールは、独立して配線・組み立てがされており、トライワイアリング接続が可能です。このため、アース同士が隔離され、隣接したフィルターセットによる変調が防止されています。
アクティブ/パッシブクロスオーバーはスピーカーキャビネットの外部に設置されており、残余電磁気の放射やカップリングによる振動の影響を防いでいます。

T2のクロスオーバーシステムはターゲット・ファンクション・フィルター理論に基づいて開発されています。この理論では、ターゲットとする音響機能ために最初にフィルター・カーブ・セットが選ばれ、次にそれぞれのドライバーの複合フィルターの特性が測定され、その後電気フィルターの特性が計算されます。さらに、リンクウィッツ・ライリー型クロスオーバーを採用しており、隣接周波数帯域合計が-6dBとなるべく、縦列バターワース・フィルターペアによって決定されるフォースオーダーカーブシリーズに設定されています。
また、システム内のドライバーユニットに関しては、周波数の無響状態での特性と位相を正確に測定するため、TEF20 TDS分析器を用いたTEF測定法を採用しています。測定で得られたデータは、この分析のために作られたフィルター・モデリング・プログラムで計算し、スピーカーレスポンスを考慮した上でフィルター機能が決定されています。そして、電気フィルターをモデル化した後、別のコンピュータープログラムでフィルター特性を決定する電子回路の設計を行って理論的な電子回路設計を完成させ、実際のドライバーユニットを測定した数値を用いて確認・検討して最終的なカーブを決定しています。
さらに、モデリングの最終過程では回路のプロトタイプを作成し、様々なテストや測定を行い、実際に音質や特性等を確認して製品化しています。

キャビネットには共振特性の低いMDF多層板を使用しており、構造はクロスブレーシングとスイートスポットにおけるダンピングを理詰めで行い、最終的にコンピューターシミュレーションによって決定しています。
バッフルメンは面取り加工されたノンディフラクショナルバッフルとなっています。

専用スピーカーベースはイギリス伝統家具職人によって仕上げられています。

機種の定格
方式 3ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型
ユニット等 低域用:31cmコーン型x2
中域用:10cmドーム型
高域用:3.7cmドーム型
周波数特性 28Hz~20kHz ±1.5dB
出力音圧レベル 94dB/W/m
インピーダンス
外形寸法 スピーカー本体:幅522x高さ1,100x奥行605mm
アクティブクロスオーバー:幅483x高さ94x奥行315mm
パッシブクロスオーバー:幅260x高さ360x奥行540mm
重量 スピーカー本体:120.0kg
アクティブクロスオーバー:7.6kg
パッシブクロスオーバー:12.5kg