Aurex SS-F50
¥75,000(1台、1981年頃)
解説
オーレックスが開発した構造体であるC.R.ポリマー(Cell Rigid Polymer)を振動板に採用したスピーカーシステム。
C.R.ポリマーは特殊硬質発泡体で、内部は柔らかい高発泡体(低密度構造)、表面はエボナイト化された硬いスキン層(高密度構造)の完全一体のサンドイッチ構造となっており、紙と同等の内部損失と高剛性、かつ軽量という特性を持っています。
この構造体の特長を活かして広帯域再生を実現するため、振動板をネビュラー(星雲)状としており、中央部が厚く、周辺部を薄くした、平面に近い凸レンズ状のため、応力の大きい中央部の強度を、十分にとることができています。また、滑らかなネビュラー形状は、適度に音を拡散させるため、指向性も向上させています。
平面振動板の中心を駆動すると、ある特定の周波数で全く動かない部分(節)が現れます。これは分割振動という共振現象の一種で、これを打消す方式として、節部分を駆動する節ドライブ方式がありますが、一般的な節ドライブでは8次の振動モードを打消すことができません。
この問題を解決するため、C.R.ポリマー振動板では、振動板中央部を駆動するボイスコイルボビンと振動板最外周とをサブコーンで固定した、三角形状のトラス構造を採用しています。この構造により、振動板の内外周を同時駆動することで、共振を実用上ないまで抑えこんでいます。
低域にはC.R.ポリマーを用いた30cm平面型ウーファーを搭載しています。
リニアリティに優れたウレタンエッジとコーネックス材使用のダンパーを採用しており、振動板のふらつきを抑えています。また、φ156mmのフェライトマグネットによる磁気回路と、ポリイミドボビン採用のボイスコイルにより、高能率で駆動しています。
さらに、アルミダイカストフレームにより、大入力時の不要共振を抑えています。
中域には、ウーファー同様にC.R.ポリマーを用いた10cm平面型スコーカーを搭載しています。
スコーカーの振動板では、ウーファーに比べて直径と厚みが小さくなっているため、エボナイト層の比率が増大しています。これによりウーファーとトゥイーターとの間に最的な内部損失を持っています。
また、磁気回路にはφ100mmのフェライトマグネットを採用し、フレームにはアルミダイカストフレームを採用しています。
高域には、3cmチタンドーム型トゥイーターを搭載しています。
振動板にはタンジェンシャルエッジと一体成型の30μ厚チタン箔を採用しています。この振動板は、一般のドーム型に比べると平面に近い形状となっており、さらに振動板の前面に精密設計のディフューザーを搭載しています。
磁気回路にはφ70mmのマグネットを採用しています。
ネットワーク部には、トゥイーターとスコーカー用に低歪設計のメタライズド・ポリエステル・フィルムコンデンサー、ウーファーには音抜けの良い電解コンデンサーを採用し、低損失・低歪化を図っています。
バッフル板に25t、他は20tのパーチクルボードを採用しています。
別売りでスピーカースタンド(高さ115mm)がありました。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
使用スピーカー | 低域用:30cm平面型 中域用:10cm平面型 高域用:3cmドーム型 |
周波数特性 | 25Hz~20kHz(SPL-10dB) |
クロスオーバー周波数 | 600Hz、5kHz |
最大入力 | 120W |
定格入力 | 60W |
出力音圧レベル | 90dB/2.83V/m |
インピーダンス | 6Ω |
レベル調整 | 中音用、高音各連続式 |
内容積 | 約50L |
外形寸法 | 幅370x高さ670x奥行325mm |
重量 | 23kg |
別売 | スピーカースタンド AA-20(¥9,000) |