Aurex XD-60
¥280,000(1982年頃)
解説
ポータブルビデオと組み合わせることでPCM生録も可能なデジタルレコーディングプロセッサー。
PCMはアナログ信号をデジタル符号化してテープに記録する方式で、EIAJ標準化仕様に基いて原信号を1秒あたり44,056個のパルスに分解(サンプリング)し、そのパルスを数値に置き換え(量子化)ています。これにより、85dB以上のダイナミックレンジ、15Hz~20kHzまでフラットな周波数特性、0.015%以下の低歪率、実用上ゼロのワウ・フラッター、85dB以上のチャンネルセパレーションを実現しています。
また、ドロップアウトなどについての対策として、3重誤り検出と、誤り訂正・補正回路を搭載しています。
家庭のAC電源(ACアダプター付属)、別売りカーバッテリー、別売りバッテリーパック(連続使用約50分)が使用可能です。バッテリー使用時には、スイッチでバッテリーの電圧(消耗状況)をメーター上部に5段階で表示できます。さらに、動作不能の1分~2分前にバッテリーダウンインジケーターが点灯し、バッテリーの交換磁気を知らせます。
ヘッドホン端子を搭載しています。
デジタル録音にも耐えるマイクアンプを内蔵しています。
また、150Hz以下をカットできるローカットフィルターや、マイクの出力レベルを12dB/24dB減衰できるアッテネータースイッチを搭載しています。
編集などの用途のために2台のVTRデッキを接続できます。
VTRによる再生デジタル符号と、録音入力をデジタル化した符号とのミキシングが可能です。また、VTRを2台使えば、コピーしながらその上に別のソースを重ね録音することができます。
また、ミキシングの場合、ミキシングされた後の音量が2倍になるので、デジタルソース側のレベルを6dB(1/2)減衰できる、アッテネータースイッチを搭載しています。
無録音部を作ったり、コピーしながら不要部分をカットするときのため、デジタル・レックミュート機能を搭載しています。
多機能ピークメーターを搭載しており、バー表示や省エネのためドット表示も可能です。
また、スイッチによりVTRトラッキング状態が表示でき、メーター表示を最大にすれば最良のトラッキング調整が行えます。
従来のPCMでは不可能だったキュー/レビュー/2倍速/3倍速/スロー/静止音が可能です。再生音は高速ではパサパサ音。スローや2~3倍速では音程が変わらず再生されます。また、静止音ではその瞬間の持続音が再生されます。
クラシックなどの録音で、高域のSN比を補償して、歪を低減できるエンファシスを内蔵しています。
再生時は自動的に切換り、ミキシング時にはデジタルソースに合わせて自動的に切換ります。
アナログ回路には、SY-Λ88IIやXD-80の系統を引く、ブチル巻きの銅箔スチコンなどの高音質素子を採用しています。
ポータブルビデオV-101C(¥198,000)や、ビデオチューナーTT-101C(¥65,000)と統一されたデザインとなっていました。
機種の定格
型式 | デジタルレコーディングプロセッサー |
<信号記録形式> | |
信号記録形式 | NTSC TV方式準拠のビデオ信号を利用したPCM変調方式 |
オーディオチャンネル数 | 2チャンネル |
標準化周波数 | 44.056kHz |
量子化ビット数 | 14ビット相当 |
エンファシス | ON-OFF可能 |
<再生方式> | |
補正 | 平均値補正 |
<録再性能> | |
周波数特性 | 15Hz~20kHz ±0.5dB |
高調波歪率 | 0.015%以下 |
ダイナミックレンジ | 85dB以上 |
ワウ・フラッター | 測定限界以下 |
<入出力端子> | |
入力感度/インピーダンス | ライン:90mVrms/50kΩ(-15dB録音レベル) 550mVrms/50kΩ(0dB録音レベル) マイク:0.26mVrms(-15dB)、1.5mVrms(0dB)(低インピーダンス) ビデオ:1.0Vp-p/75Ω(規定入力信号レベル) |
出力レベル/インピーダンス | ライン:最大2Vrms/10kΩ以上(0dB再生レベル) ヘッドホン:最大5Vrms/8Ω(0dB再生レベル) ビデオ:1.0Vp-p/75Ω(規定出力レベル) |
<その他> | |
入力電圧 | DC12V AC100V±10%、50Hz/60Hz(ACアダプター使用時) |
消費電力 | 22W(DC動作時) |
外形寸法 | 幅277x高さ115x奥行264mm |
重量 | 本体:3.2kg バッテリー内蔵時:3.9kg |
付属 | ACアダプター AC-100 |