Aurex SY-Λ88II
¥265,000(1981年頃)
解説
SY-Λ88の改良型として発表されたコントロールアンプ。
電源部には新開発の安定化電源 スーパーΛ電源を採用することでAC電源→アンプ間での低インピーダンス化を図っています。これによりDC~100kHzまで僅か0.5mΩという超低インピーダンスを実現し、さらにローノイズも実現しています。
スーパーΛ電源では差動2段の帰還型電源を採用しており、高ゲイン、高安定度で応答性に優れ、ワイドレンジ再生を実現しています。さらに、ローノイズトランジスタを使用することでMCヘッドアンプをダイレクトに駆動しています。
AC電源コードには15Aのものを採用し、電源トランスには巻線の太さが従来の2倍もある80VA大容量トロイダルトランスを採用しています。また、PC板は280ミクロンのものを採用するなど細部にわたって抵抗を低く抑えています。
インピーダンスを減少させるためパワースイッチには大容量なものを採用しています。また、整流器や新開発電解コンデンサー、各種フィルムコンデンサーをパラレル使用することで低インピーダンス化を実現しています。
さらに、低インピーダンス化や異種金属接触の減少、振動防止を促進し、新開発uΛーII型コンデンサーをはじめとして銅箔スチロールコンデンサー、銅箔フィルムコンデンサーなどの銅箔パーツを使用しており、特殊製法によって広帯域に渡って共振を押さえ、エネルギーバランスの良い特性を得ています。また、電解コンデンサーもフィルムコンデンサーに対する考察をもとに、特殊製法によって歪感の少ない優れたエネルギーバランスを実現しています。
能動素子の含まれたDCサーボによる音質劣化を防ぐため、MCヘッドアンプ、フラットアンプ、イコライザーアンプの全てをサーボレスDCアンプとしており、音質に影響を与える帰還回路がシンプルな構造となっています。
RIAA素子には、難しいといわれてきた大容量の銅箔スチロールコンデンサー(82,000μF、28,300μF)を特殊製法により実現し、採用しています。
フラットアンプの初段には、温度特性の安定している1チップのデュアルFET2SK270を採用しています。ノイズが少なく帰還用抵抗値を2倍にとれるため、帰還回路のロードを軽くしながら高SN比を得ることに成功しています。
また、高電源電圧動作によりダイナミックレンジ140dBを実現しています。
新設計のスイッチ式バランス調整機構を採用しており、信号経路の接点減少を実現しています。
この回路では、従来ボリュームの前にあったバランスをフラットアンプの後に設定し、スイッチと抵抗を組合わせたレベル5段階変化としています。この方式はフラットアンプの出力抵抗を利用したもので、信号ラインとアースの間に抵抗を入れ、この抵抗値を上質の接点であるスイッチによって変化させて信号レベルを変えています。このため、バランスツマミがセンター位置では信号ラインに接点が無く、抵抗も組み込まれません。
この構造により、レコード演奏時の接点は並列接続の2ヶ所と、接点改良型ボリュームが1ヶ所の計3ヶ所となっています。
MCカートリッジの性能を引き出すため、2段階の負荷インピーダンス切替えが可能です。また、MM端子にも100Ωの負荷を設けることで、高出力のMCカートリッジではヘッドアンプを通さずに使用することができます。
録音セレクタースイッチを独立した構成となっているため、演奏中のソースに関係なく録音ソースの選択ができます。
また、テープデッキを2台接続でき、同時録音やダビングができます。OFFの位置ではREC端子に接続されているデッキが切り離されるため、デッキの電源をOFFにした場合に起こる入力インピーダンスのノンリニア成分などによる音質劣化を防止できます。
入力セレクターをPhono Subの位置にするとサブソニックフィルターが動作します。
電源ON-OFF時の異常発生音を防ぐため、電源スイッチと連動してミューティング回路が動作します。
動作状態はインジケーターで確認でき、スイッチONで赤になり、ミューティングが解除されると緑に変化します。このミューティングはPre
outとRec outに働きます。
機種の定格
型式 | コントロールアンプ |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.0mV/100Ω、47kΩ Phono MC:0.1mV/10Ω、100Ω Tuner、Aux、Tape:150mV/47kΩ |
全高調波歪率(1kHz) | Phono MM:0.002%(7.5V出力時、Rec out) Phono MC:0.002%(7.5V出力時、Rec out) Aux:0.002%(3V出力時、Pre out) |
混変調歪率 | Aux:0.002%(1kHz、3V出力時、Pre out) |
SN比(IHF-A、 ショートサーキット) |
Phono MM:88dB Phono MC:70dB Aux:110dB |
周波数特性 | Phono:RIAA偏差 ±0.2dB(20Hz~20kHz、Rec out) Aux:10Hz~100kHz +0 -1dB |
最大許容入力 (1kHz、THD 0.002%) |
Phono MM:450mV Phono MC:23mV |
定格出力/インピーダンス | Rec out:150mV/180Ω(1kHz) Pre out:1V/100Ω |
最大出力 | Pre out:30V |
サブソニックフィルター | MM、MC:16Hz、6dB/oct |
使用半導体 | トランジスタ:60個 ダイオード:15個 FET:11個 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 30W |
外形寸法 | 幅450x高さ93x奥行386mm |
重量 | 9kg |