ARCAM DELTA110
¥275,000(1991年頃)
解説
デジタル入力も備えたDAC内蔵プリアンプ。
D/Aコンバーターにはフルディファレンシャルモード・ビットストリーム方式を採用しています。
D/A変換部にはフィリップスのSAA7321ビットストリームDACを各チャンネルに2個ずつ採用しており、ディファレンシャルモードで動作させています。
コンバーターに入力される前のデジタル信号処理にはアーカムのカスタムICを採用しており、特殊な形に形成されています。これによりD/Aコンバーターの非直線性をほぼ完全に解消すると共にSN比を高めています。
また、このカスタムICに従来のICを全て置き換えることでデジタルノイズの発生を大幅に低減しています。さらに、軍用エレクトロニクスにしか見られない特殊なノイズ対策を施すことでノイズレベルを低減しています。
アナログ入力を使用する時はD/Aコンバーター回路が自動的に切れる構成となっています。
D/Aコンバーター回路はプラグインタイプの単一基板に形成されており、コンバーター回路が改良された際に交換してグレードアップすることができるよう設計されていました。
アブソリュートフェイズスイッチを搭載しています。
古いアナログレコードから復刻したCDには位相が逆転しているものが稀にあります。アブソリュートフェイズスイッチを用いて位相を反転することでこういったCDにも対応しています。
位相の反転はアーカムのカスタムICによってデジタル処理されます。
信号切換は入出力端子のすぐ背後に設けられた接点封入型リレーによって行われます。これにより信号経路が可能な限り短縮され、ノイズや歪を低減しています。
また、接点封入型リレーは従来のオープンスイッチに比べて経時的な腐蝕が少なく、純度の高い伝送を可能にしています。
フィードバックループによるバランスコントロールを搭載しています。
これにより信号経路が単純化され、ノイズや歪を抑えています。
電源回路にはデジタル回路とアナログ回路にそれぞれ専用のトロイダル電源トランスを搭載しています。
さらに12個のセパレート安定化電源回路を搭載し、各回路への安定した電圧供給と可能な限りのノイズ抑制を行っています。
従来のプリアンプでは再生セレクターと録音セレクターを別々に設けていましたが、DELTA110では入力セレクタースイッチだけで両方の機能を行っています。
入力スイッチの上にあるグリーンのLEDが点灯すると再生ソース(Listen)、赤のLEDが点灯すると録音ソース(Record)の切換が可能です。
これにより内部配線やスイッチを簡略化しています。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | コントロールアンプ |
アナログ入力 | Disc MM:2mV/47kΩ Disc MC:100μV/220Ω AV、Tuner、Tape1/2:200mV/45kΩ |
デジタル入力 | 同軸:1系統 オプティカル:1系統 |
D/Aコンバーター | 1ビットx256倍 |
サンプリング周波数 | 44.1kHz、48kHz |
D/Aコンバーター数 | 4 |
周波数特性 | Disc:50Hz~20kHz +0.2 -0.5dB other:20Hz~20kHz +0.1 -0.5dB |
ノイズ | Disc MM:-64dB(CCIR) Disc MC:-50dB(CCIR) Line:-89dB(CCIR) Digital:-96dB(CCIR) |
歪 | 0.01%以下(1V出力) |
出力レベル/インピーダンス | Main:2V/25Ω、max>8V Tape1/2:300mV/70Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
外形寸法 | 幅430x高さ64x奥行270mm |
重量 | 3.7kg |
付属 | ワイヤレスリモコン |