AKAI GX-F71
¥89,800(1982年頃)
解説
最先端技術を取り入れ、それらを高い次元で調和される事で音質・メカニズム・操作性を改善したステレオカセットデッキ。
ヘッドにはスーパーGXヘッドによる3ヘッド方式を採用しています。
高透磁率、高飽和磁束密度のローノイズクリスタルフェライトをコアに用いており、耐摩耗性、ゴミが付着しにくいなどの機械的二次特性にも優れた性能を示しています。
ドルビーCタイプNRを搭載しています。
Cタイプでは、Bタイプよりも優れたノイズ低減効果をはじめ、ブリージング(ノイズの息づき)を抑えるスライディングバンド方式や、高域での特性を大きく改善するスペクトラルスキューイング、アンチサチュレーション回路を備えるなど、高域での周波数特性改善、音質劣化対策がされています。
録再アンプには厳選したデバイスを使用した±2電源方式によるDCアンプを搭載しています。
再生アンプは、デュアルFET、デュアルトランジスタ採用の初段差動アンプとSEPP構成で、さらに再生ヘッドにダイレクトカップリング構成となっています。
また、録音アンプはリニアリティに優れたICオペアンプを採用し、電源部も強化することで、低歪率、広ダイナミックレンジ、位相特性の安定化などの音質向上を図っています。
メカニズム部にはクローズドループ・ダブルキャプスタン方式のトランスポートメカニズムとダイレクトドライブ方式を採用し、高精度のテープ走行を実現しています。
2本のキャプスタンがヘッド部分のテープを確実にグリップして、一定のテンションを与えるため、走行に伴うテープの微細振動を吸収し、変調ノイズを大幅に低減しています。
また、キャプスタン駆動用モーターには高い回転精度とハイトルク性を誇るFGサーボDDモーターを採用しており、低ワウ・フラッターを実現しています。さらにハイトルクDCモーターによるリールドライブ機構や独自のテープガイドを採用して駆動系のクオリティをより充実させています。
各モードの設定をマイコンが専用モーターを制御して行うクイック&クワイエットメカニズムを採用しています。
これによりメカニズムを極小にしており、さらにストップ状態でもヘッドブロックはポーズ位置までリフトアップされているため、プレイ動作時の立ち上がりも速くなっています。
オートテープチューニング機構を搭載しています。
まず1kHzの基準信号で録再し、レベルの粗調を行いバイアス設定へ移ります。バイアス設定点はワンステップ3%で32ステップも受けており、Rchを代表に選び浅い方から除々に深く、逆に深い方から浅くと、2方向からバイアスを変化させた結果を平均し、この平均値よりさらに4ステップオーバーのポイントを最適バイアス値とする精度の高い方式となっています。
その後、5kHz/7kHz/15kHzの3つの周波数で1kHzの基準レベルをもとにイコライザーおよび録再感度を調整し、フラットな周波数特性を実現します。
この機構は約17秒かかり、終了と同時に巻戻し、録音スタンバイとなります。
また、このチューニングデータは、自動的にマイコンが各テープポジションごとに1つずつメモリーされ、また、チューニングレックポジションを搭載しており、タイマー録音時もオートテープチューニングをしてから録音に入ります。
レックキャンセル機構を搭載しており、録音タイミングを誤った時にこのボタンを押すと、すぐさま録音を中止し、曲間まで巻戻した後、約4秒間の無音録音をして録音スタンバイとなります。
イントロスキャン機能を搭載しており、FFとPLAYボタンを同時に押すと、次の曲からテープエンドまで曲の頭を10秒ずつ自動的にスキップ再生します。
IPLS(自動頭出し)機能を搭載しており、オートシステムスイッチをIPLSモードにしてFFまたはRWDボタンを押すと、自動的に次の曲または現在の曲の頭を探し出し、プレイを始めます。
メモリーカウンターモードにしておくことでRWDとPLAYを同時に押すとカウンター0000位置まで巻戻し、自動的にプレイを始めます。
オートフェーダーを搭載しており、録音スタンバイ状態でフェードボタンを押すと設定した録音レベルまで5秒間で自動的にフェードインします。また、録音中にフェードボタンを押せば自動的にフェードアウトし、その後4秒間の無音録音したのち、録音スタンバイとなります。
オートモニター機能を搭載しており、録音スタンバイ中はソースの方をモニターし、録音開始と同時にテープモニター側へスイッチングし、録音する曲を頭から確認できます。
オートミュート機能を搭載しており、録音中にこのボタンを押せば4秒間の無音録音をしたのち、録音スタンバイとなります。
オートテープセレクターにより、ローディングするだけでテープポジションを自動的に検出し、同時にバイアスとイコライザーをアカイのリファレンス値に設定します。
VU/PEAK切換えのデュアル表示2色18セグメントによるFLバーメーターを搭載しています。
VUとPEAKでスケールも切換り、レベルの読取りが確実に行えます。またメーター上にもテープポジション表示を設けており、最大録音入力レベルのワーニングゾーンを示します。
留守録、目覚まし再生ができるタイマースタート機能を搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
ワウ・フラッター | 0.028%WRMS(JIS) ±0.055%WPeak(EIAJ) |
周波数特性 | 20Hz~17kHz ±3dB(ノーマルテープ) 20Hz~18kHz ±3dB(CrO2テープ) 20Hz~21kHz ±3dB(メタルテープ) |
歪率(1kHz、0VU) | 0.7%(メタルテープ) |
SN比(メタルテープ) | 60dB(3%THDレベルWTD) 56dB(EIAJ) DolbyB NR on:1kHzで5dB、5kHz以上で10dB改善 DolbyC NR on:500Hzで15dB、1kHz~10kHzで20dB改善 |
ヘッド | 録音:スーパーGX録音ヘッドx1 再生:スーパーGX再生ヘッドx1 消去:消去ヘッドx1 |
モーター | キャプスタン駆動用:FGサーボDDモーターx1 リール駆動用:DCモーターx1 |
早巻時間 | 約90秒(C-60テープ使用時) |
入力感度/インピーダンス | Line:70mV/47kΩ |
出力レベル/インピーダンス | Line:410mV/2kΩ以下 Headphone:3mW/8Ω |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 28W |
外形寸法(EIAJ) | 幅440x高さ100x奥行377mm |
重量 | 約7.4kg |
付属 | コネクションコードx2 |