解説　

カセットの限界を追求し、さらにFRTSなどの機能を搭載したステレオカセットデッキ。

バイアス3段と録音イコライザー3段、再生イコライザー2段が独立で切換えられるテープセレクターを搭載しています。

周波数特性を直視しながらバイアスの微調整の可能なFRTS(Flat Response Tuning System)を搭載しています。
FRTSでは、内蔵の混成波発振器からのテスト信号を録音し、これをテストヘッドで同時モニターすることで左右のメーターに400Hz、8kHzそれぞれの出力レベルが表示されます。左右の針の振れ方が等しくなるようにバイアス調整ツマミを回す事で、周波数特性のフラットな点が得られます。
FRTSの調整方法は、まずセレクターをTESTの位置にし、テープセレクターをテープの種類に合わせます。その後テープを入れて録音状態にします。そしてテストヘッドのアジマスを調整します。バイアス調整つまみを回して周波数特性がフラットになる最適バイアス値を探します。

人間の耳に感じる一般的な音量レベルと、実際の音楽信号に含まれるピークレベルの2つのレベルが同時に読み取れるダブルニードルメーターを搭載しています。特にピークメーターは新たにカセットデッキ用として検討されたもので、4段のオペレーショナルアンプを使用することで応答特性・復帰時間・指示範囲など十二分な性能を得ています。
ピークレベルメーターは、応答特性10mSec、復帰時間1.5秒、指示範囲は-40dB～+10dBとなっています。

ピークホールド機構を搭載しており、ピークホールドボタンをONにすれば入力信号のピークレベル指示を一定時間ホールドすることができます。さらに大きな信号が入った場合は、その最大値を指示してホールドするので、プログラムソースのピークレベルの確認が容易となっています。
ピークホールド時間は30分(-1dB)です。

モーターには応答速度の速い38パルスFGサーボモーターを採用するとともに、フライホイール、キャプスタン、リール軸など、テープトランスポート部分の精度を徹底的に追求し、優れた性能を実現しています。

カセットオートローディング機構を採用しており、テープを軽く押すかカセット蓋を閉じれば、キャリアによりカセットが自動的に運ばれる構造となっています。この機構により、指先がメカニズムに直接触れることがないため、テープ駆動部分のメカニズムを保護する役目もしています。

過大入力時の録音ミスを防ぐリミッター気候を搭載しています。

タイマースタンバイメカを内蔵しており、タイマーを接続しデッキを録音スタンバイ状態にセットしておけば、希望の時間に自動的に録音を開始します。また、再生状態で使えば目覚まし再生も可能です。

ホール素子とICを組合わせたホールIC使用の無接点方式フルオートストップ機構を採用しています。
これにより、テープ走行に悪影響を与えず、不快なノイズの発生も抑えています。

ノイズリダクションシステムとしてドルビーシステムを搭載しています。
ドルビースイッチとMPXフィルタースイッチが連動しているため、FMステレオ放送のドルビー録音時意外はMPXフィルターOFFにセットすることで周波数特性が向上します。

プレイヤーシンク端子を搭載しています。アイワのレック・シンク端子付きのレコードプレイヤーと接続することで、レコード録音時、プレイヤーのスタートと同時にデッキのポーズボタンが解除されます。

メモリーカウンターとクイックレビュー・キュー機能を搭載しています。

別売りでサイドウッドがありました。

機種の定格

型式	ステレオカセットデッキ
トラック方式	4トラック2チャンネル
周波数特性	LHテープ:20Hz～16kHz FeCrテープ:20Hz～19kHz CrO2テープ:20Hz～18kHz
SN比	65dB(Dolby NR on、FeCrテープ)
ワウフラッター	0.05%(WRMS)
テープ速度	4.8cm/s
早送り、巻戻し時間	90秒(C-60)
録音方式	ACバイアス
消去方式	AC消去
入力感度/インピーダンス	Line:50mV/50kΩ以上 Din:0.1mV/kΩ(3kΩ) Mic:0.25mV/200Ω～10kΩ適合
出力レベル/インピーダンス	Line:0.775V/50kΩ以上適合 Din:0.775V/50kΩ以上適合 ヘッドホン:8Ω
使用半導体	IC:8個 FET:12個 トランジスタ:77個 ダイオード:60個 LED:4個
電源	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	17W
外形寸法	幅450x高さ162x奥行300mm
重量	10kg
付属	ヘッドクリーニング棒 接続コード
別売	サイドウッド SB-10(￥2,700)