ADC MC1.5
¥29,000(1981年5月21日発売)
解説
IM型で蓄積したノウハウを元にして開発されたADC初のMCカートリッジ。
カンチレバーにはチタンパイプカンチレバーを採用しています。
MC1.5では硬いチタンを素材として用いると共に、0.035mmという薄い肉厚で0.35mm径という極細のパイプカンチレバーに仕上げる事で軽量化を実現しています。また、このカンチレバーは根元部をアルミパイプとの二重構造とする事で合成を高め、不要なたわみ振動を抑えています。
針先は無垢ダイヤ角柱を用いた特殊楕円針を採用しています。
形状は音溝と線接触させた上で底擦りしない形状とし、不要音の混入を防止しています。
発電コイルは表面を極薄のポリウレタン被膜で絶縁した極微細な銅線を巻き上げたもので、約2mm角の小型軽量コイルとなっています。
極微細線を用いた事で軽量のまま巻数を上げることができ、結果的にMC型でありながら0.9mV(5cm/sec)の出力を可能にしています。
音質に影響の大きいダンパーには天然ゴム系素材を使用しており、コイル面に全面で接触させて効果的な制動を行っています。
このダンパーはIM型のOrbitalピボットなどでのノウハウを活かしたダンパー部で、振動支点は事実上ワンポイントに定まり、正確なカンチレバー動作を可能にしています。
磁気回路には磁束密度が大きいサマリウムコバルトマグネットを採用しており、2.8x4x6mmという小型化と0.9mVの出力を両立させています。
また、磁気回路の構造に新しい機軸を採用することで磁気回路の重量とスペースファクタを改善し、不要振動源を極小化する事で音のリニアリティを高めると共に重量を減らす事でカートリッジトータルの自重を減少させています。
不要共振による音への影響が大きいハウジング部にはカーボンファイバー系特殊樹脂を採用すると共に内部の不要空隙を無くし、振動系以外のパーツを全て接着面で固定した事で不要振動の発生を低減しています。
また、ハウジングホルダー部も全面的に面接触させた上で太径ビスで固定しており、ガタツキや不要共振の問題を抑えています。
MC1.5は最適負荷インピーダンスが100Ωとなっています。高出力を生かしてハイインピーダンスのMM端子に直接接続する事も可能ですが、別売りオプションとしてインピーダンス整合(100Ω-47~50kΩ)のためのアダプタも販売されていました。
機種の定格
型式 | IM型カートリッジ |
周波数特性 | 10Hz~50kHz 10Hz~20kHz ±1.5dB |
出力 | 0.9mV(5cm/sec) |
出力バランス | 1dB以内 |
セパレーション | 28dB以上(1kHz) |
コンプライアンス | 12x10-6cm/dyne(100Hz、ダイナミック) |
直流抵抗 | 95Ω |
負荷インピーダンス | 100Ω~50kΩ (最高負荷インピーダンス100Ω) |
針先 | 0.25x1.6mil、無垢ダイヤ・エクステンデッド・コンタクト・ミニチュア楕円針 |
振動系 | 極細チタン・パイプ・カンチレバー(複合二重構造) |
適正針圧 | 1.5g±0.3g |
自重 | 5.0g |
交換針 | 新品交換(¥21,000) |