オーディオの足跡

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T-109の画像
 解説 

最高の音質を求める音楽ファンのため、チューナーとして究極のグレードを目指したFMステレオチューナー。

選局のための同調は、水晶発振子により高精度で希望局に同調することができ、時間や温度変化によるズレは殆ど無く、歪最小、感度最高の点にロックします。
また、電子同調のため、外部振動による変調歪や雑音は生じません。

フロントエンドには、アンテナ回路で増幅する前に選択回路を通すアンテナ複同調回路を採用しており、大入力時に直接増幅することで発生する混変調を防いでいます。
高周波増幅には、フィードバックの少ないカスコードアンプ(2個の増幅器をカスケードに接続し、周波数特性を改良した回路)構成のFETを採用しています。この入力のゲートには、PINダイオードによるアッテネーターを設けており、このアッテネーターをアンテナ入力レベルによってマイクロコンピューターでON/OFFし、送信タワーが近い地域における超過大入力に対処しています。
またミキサーには、プッシュプルFETによるバランスド・ミキサー回路を採用し、高調波歪の発生を抑え、妨害信号を排除しています。

高性能・高信頼性・無調整のDGL(Fifferential Gain Linear)回路をベースに、大幅な改良を加えたアドバンスドDGL検波回路を新たに搭載しています。この回路の入力部では、2.4MHzの広帯域増幅器に高速コンパレーターを使いビート妨害を皆無にしています。また遅延回路には24個のハイスピードC-MOS ICを使用し安定度を高めています。
動作原理は、遅延回路は高速ロジックICの出力の遅れ時間に着目し、24個のICにより歪最小・SN比が最大になるように位相角度を114度遅らせた構成となっています。この遅延信号と入力信号を、エクスクルーシブ・オア回路に加え、2つの信号間の電位を選択して回路を開閉します。このとき変調によって生じる疎密波をデジタル的に検出して、音声信号を取り出しています。
この方式は、遅延回路の直線領域が±2.4MHzと広く、しかも無調整のため、安定で優れた微分利得直線特性を得ることが出来ます。

IF段はNormalとNarrowの2段切換えを採用しています。
通常は広帯域受信のNORMALを使用し、隣接放送局との混信の激しい時はNARROWに切り替えることにより、選択度重視のシャープな受信が可能です。

ステレオ復調部ではPLL回路により内部発振回路をロック(固定)し、正確な38kHzスイッチング信号を得ています。
T-109では、このPLLの内部発振回路にセラミック共振子と、制御電圧でコントロール可能な正負可変リアクタンス回路を組合わせた方式を採用しています。これにより、従来より狭いロック周波数範囲で正確なスイッチング信号が得られます。
この回路では、ステレオ復調回路の無調整化及び長期安定性の確保、温度変化・ライン電圧の変動などによる分離度の変化が殆ど無い、ロック周波数範囲が狭いため高い周波数におけるビート妨害が少ないなどの特徴があります。

16局メモリーを搭載しており、あらかじめメモリーしておけば、ボタンによって瞬時に呼び出すことができます。
また、状況にあわせてSelectivity、Meter、Filter、Muting、Monoなど各ファンクションを電波状態に応じてメモリすることができます。
これらの機能にはAccuphaseオリジナルのマイクロコンピューターを使用しており、クロック周波数は、電子同調回路のPLL周波数から分周する椀クロック方式をとっており、ビート妨害を抑えています。

メモリー選局の他に、パルスチューニング方式の回転ノブによる手動同調器を搭載しています。
これは、回転ノブのシャフトに取り付けられた、放射状にスリットが切られたディスクが、位相検出器(光による非接触)を通過することによってパルスを発生し、このパルスをマイクロコンピュータに入力しPLLの同調周波数を制御する構造となっています。
ノブを回転すると、ビープ音の発生により周波数の変化を知らせてくれます。

オーディオ出力にバランス回路を搭載しており、信号ケーブルやアースラインの雑音成分を排除しノイズフリーの高音質伝送が可能です。

メーターは切り替えスイッチによりアンテナ入力信号レベルとマルチパスのチェックが可能です。
マルチパスはFM放送特有のもので、多重反射波(ゴースト)によって発生する歪です。これはアンテナの向きで防止することができるため、メーターでマルチパスが最小になるように放送局を選んだり、アンテナの方角を調整したりします。
アンテナ入力信号はメーターの振れ方によって電波の強度をチェックすることができ、針の振れが大きいほどSN比はよくなります。

付属機能として、電波の弱いステレオ局のノイズを低減するノイズフィルターや局間ノイズを取り去るミューティングスイッチ、強制的にモノラルにするモノ・スイッチ、出力レベルコントロールを搭載しています。

付属のリモートコマンダーによって、選局や各種機能をコントロールすることができます。

機種の定格
型式 FMステレオチューナー
<モノラル特性>
受信周波数 76.0MHz~90.0MHz
実用感度 11dBf(IHF)
S/N 50dB感度 17dBf(IHF)
定在波比 1.5
S/N(80dBf入力、A補正) 90dB
全高調波歪率(80dBf入力、
±75kHz偏移、Normal時)
20Hz:0.02%
1kHz:0.02%
10kHz:0.02%
IM歪率 0.01%(80dBf入力、±75kHz偏移)
周波数特性 10Hz~16000Hz +0 -1.0dB
2信号選択度(IHF)
妨害波 Normal Narrow
400kHz 70dB 100dB以上
300kHz 30dB 100dB
200kHz 10dB 40dB
キャプチャーレシオ 1.5dB
RF相互変調 80dB
スプリアス妨害比 120dB
イメージ比 100dB
AM抑圧比(65dBf入力) 80dB
サブキャリア抑圧比 70dB
SCA妨害比 80dB
出力電圧(±75kHz偏移) 1.0V
<ステレオ特性>
感度 S/N 40dB感度:29dBf(IHF)
S/N 50dB感度:37dBf(IHF)
S/N(80dBf入力、A補正) 85dB
全高調波歪率(80dBf入力、
±75kHz偏移、Normal時)
20Hz:0.04%
1kHz:0.04%
10kHz:0.04%
IM歪率 0.03%(80dBf入力、±75kHz偏移)
周波数特性 10Hz~16000Hz +0 -1.0dB
ステレオ分離度 100Hz:50dB
1kHz:50dB
10kHz:40dB
ステレオ切替入力電圧 20dBf
<総合>
アンテナ 75Ω不平衡
同調方式 クォーツ・シンセサイザー方式
16局ランダムメモリー・チューニング
検波方式 アドバンスドDGL方式
出力インピーダンス
Balanced(平衡XLRタイプ): 200Ω(100Ω/100Ω)
Unbalanced(不平衡) Fixed(固定出力):200Ω
Controlled(可変出力):1.25kΩ(最大)
メーター 信号強度、マルチパス切替式
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 15W
最大外形寸法 幅475x高さ140x奥行402mm
重量 9.5kg
付属:リモートコマンダー RC-12
リモコン方式 赤外線パルス方式
電源 DC3V
乾電池 SUM-3型(IEC呼称R6)2個使用
最大外形寸法 幅64mmx高さ149x奥行18mm
重量 145g(電池含む)