Accuphase PS-1200
¥500,000(1997年4月発売)
解説
PS-500の大電力タイプとして発表されたクリーン電源。
PS-1200は、入力された交流を制御回路によって加減算して補正し、そのまま交流で出力する構造となっています。主なエネルギーは入力された交流そのもので、損失分は波形補正用の電力だけなので、従来の交流定電圧装置に比べて高い効率を実現しています。また、発熱が少なく、軽量化も可能にしています。
電源周波数は入力同期方式なので内部に発振器の必要がなく、内部からの高周波ノイズの発生がありません。
PS-1200では入力周波数に同期した高精度の正弦波形を作り出して出力電圧と比較しています。そして、得られる過不足分の最大±10Vの補正波形を作り出し、出力電圧を加減算しています。これにより入力電圧90V~110Vの変動に対し定格負荷1,200VA接続時で、出力電圧100V(±2V)一定、歪率0.3%以下の優れた波形修正能力を得ています。
波形補正の加減算を行うパワーアンプにはピュア・コンプリメンタリー・シンメトリー回路とカレントフィードバック増幅回路を採用しています。この出力段には最大定格15Aのトランジスタを20パラレル・コンプリメンタリー・プッシュプルで使用しており、定格出力電流12A、瞬時電流供給能力140Aを実現しています。
入力側には高周波雑音を排除するラインフィルターを装備しており、電源ラインを通して侵入するノイズ成分を遮断しています。
電源トランスには約1,500VAのスーパーリング型大型トロイダルトランスを採用しています。
このスーパーリング型では鉄芯の断面が円に近いため、コイルも円形に近く巻け密着性が向上しています。これによりロスの低減や軽量化、負荷時のリーケージフラックスの低減、唸りや振動の低減を実現しています。また、鉄芯の断面積を小さく、銅線の重量比率を大きくすることによって鉄損やインラッシュ電流を小さく抑えています。
さらに完全シールドすることで外部雑音を排除しています。
交流帰還方式を採用することで出力インピーダンスを非常に低く抑えており、出力に接続された機器同士の干渉を排除しています。
メーターを搭載しており、接続された機器の消費電力を確認できます。また、メーター切替スイッチによって実装動作状態での電源入出力電圧や入出力歪率をモニターできます。
このメーターのWattageは皮相電力(VA値)を表示しており、カタログ等の消費電力値より大きな値を指示しています。
電源スイッチ兼用のサーキットプロテクターを搭載しており、万一異常が生じた場合は電源を遮断しPS-1200と接続機器を保護します。
この保護回路は、出力端子に接続された負荷機器の合計消費電力が1,200VA以上になり、定格入力電圧が20Aを超えた場合に動作します。また、出力端子をショートした場合にも動作します。
さらに、電源ON時の突入電流などの瞬間的な電力オーバーに対しては140Aで電流リミッターがかかりるため、安全に使用できます。
PS-1200の異常によって直流電流が出力された場合にも保護回路は動作します。
出力端子はフロント側とリアパネル側に合計7個のACコンセントを搭載しています。
機種の定格
型式 | クリーンパワーサプライ |
定格出力容量 | 1,200VA(連続出力) |
定格出力電圧 | AC100V±2V |
定格出力電流 | 12A |
出力周波数 | 50Hz/60Hz(入力周波数に同期) |
瞬時電流供給能力 | 140A |
出力波形全高調波歪率 | 0.3%以下 |
入力電圧範囲 | AC90V~110V |
入力周波数 | 50Hz/60Hz |
入力容量 | 1,500VA(定格出力時) |
無負荷時消費電力 | 60W |
冷却方式 | 自然空冷 |
メーター | Wattage:0~1,200W Voltage input/output:AC90~110V 目盛りの赤色範囲:AC100V±5V Distortion input/output:0~6% |
最大外形寸法 | 幅475x高さ242x奥行508mm |
重量 | 37.2kg |