Accuphase P-260
¥200,000(1979年4月発売)
解説
電力増幅用素子としてMOS FETを採用し、アキュフェーズ技術を結集して性能・音質を練り上げたステレオパワーアンプ。
切り替えにより純A級アンプで動作するように配慮されています。
A級動作方式はプッシュプル素子の動作領域が、常に完全にオーバーラップする動作方式となっています。
動作の切り替えは、回路のバイアス抵抗をスイッチで切り替えるのではなく、純電子式スイッチ(PAT、PEND)によって行っています。
出力段にはMOS FETをパラレルプッシュプルで構成しています。
MOS FETは高い周波数の伝送時にノッチング歪を発生しないので、高域特性を改善しています。また、有害なTIM歪の改善にも効果をあげています。
全増幅段をアキュフェーズのオリジナルの対称型プッシュプルで構成しています。
素特性、特にリニアリティに優れ、少量のNFBで極限的低歪率を実現でき、安定度の高い増幅回路を構成されており、その結果、IM、TIMの減少により音質が改善しています。
また、カラレーションを取り除くため、NFBループからもコンデンサを取り去ったDC構成としています。このために生じる出力のDCドリフトは、入力差動回路にデュアル素子を使用し、温度変化に対し安定なレイアウトにすることにより、安定させています。
電源部には、高能率低リーケージフラックス型のCIコアを採用しています。
このCIコアは負荷変動の激しい家庭用電源の柱上トランスに使われている形と同じで、巻線を2分割バランス巻にし、効率と変動率も改善しています。
フィルターコンデンサには40000μF2個を採用しています。このコンデンサは特にオーディオ用として低インピーダンス設計されたものです。
対数圧縮型ピークレベルメーターで、dB目盛と共に8Ω負荷における出力も直読できるようになっています。
また、メーカーファンクション切り替えスイッチによりピークホールドが可能となっています。ホールド時間は約3秒で、その間に生じるピークをホールドするので、プログラムソースのピーク監視が可能です。
なお、A級動作時は定格出力30Wが0dBになるようOperationスイッチにより自動的に切り替わります。
スピーカーも含めたトータルの能率によってアンプのゲインをコントロールできるようにするため、入力レベル調整用のアッテネーターを設けています。
左右独立で-20dBから1dBステップで可変が可能です。
A級動作による発熱に対応し、長期にわたって耐久性を保つため、機内空気温度が70℃になると自動的にバイアスをコントロールし、過熱を防ぐセンサーを内蔵しています。
また、通常の動作(Normal Operation)では、出力FETへの供給電圧をコントロールするように働き、同じように過熱を防止しています。
天然ローズウッド仕上げのキャビネットが別売りであります。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ | ||||
連続平均出力(新IHF、両ch動作、 20Hz~20kHz、歪率0.01%以下) |
Normal Operation 4Ω:180W/ch 8Ω:130W/ch 16Ω:65W/ch Class-A Operation 4Ω:45W/ch 8Ω:30W/ch 16Ω:15W/ch |
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高調波歪率(両ch動作、 出力0.25W~定格出力、20Hz~20kHz) |
4Ω:0.01%以下 8Ω:0.005%以下 16Ω:0.005%以下 |
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IM歪率(新IHF) | 0.003%以下 | ||||
周波数特性 | 定格出力時:20Hz~20000hz +0 -0.2dB 新IHF:0.4Hz~120000Hz +0 -3.0dB |
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ダンピングファクター(新IHF) | 80(20Hz~20000Hz) 120(50Hz) |
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入力感度/入力インピーダンス | 定格出力:1.3V/50kΩ 新IHF、1W出力:0.12V/50kΩ |
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S/N(A-補正) | 120dB(定格入力、入力ショート) 100dB(新IHF、1W出力時) |
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出力メーター | 対数圧縮型-40dB~+6dB及び出力直読 ピークホールド切替付き |
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使用半導体 | 33Tr、16FET、4IC、40Di、2オプトカプラー | ||||
電源 | 100V、117V、220V、240V/50、60Hz | ||||
消費電力 |
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外形寸法 | 幅445x高さ160(脚含む)x奥行390mm | ||||
重量 | 19.7kg | ||||
別売 | ウッドキャビネット A-8(¥15,000) |