Accuphase E-303
¥245,000(1978年7月発売)
解説
良質の再生音を追求したステレオプリメインアンプ。
MCカートリッジを直接接続できるように、ヘッドアンプを内蔵しています。
4個のMOS FETをパラレルプッシュプルで構成し、130W/chを実現しています。
ヘッドアンプの入口からMOS FETのファイナルまで全増幅段を完全対称型プッシュプル回路で構成しています。
この回路は、普通の方式に比べて倍近い部品数を必要としていますが、素特性、特にリニアリティに優れているので少量のNFBで低歪率を実現できるというメリットを持っています。
これにより、音質を劣化させるTIM(過渡相互変調)歪が大幅に改善しています。
全てのユニットアンプをDC構成としています。
また、大容量を必要とするNFループのDCカットコンデンサを取り去りカラレーションを取り除いています。
新開発のDCサーボ方式を採用し、DCドリフトを抑える事に成功し、困難であったトーンコントロール回路のDC化を実現し、トーンコントロール使用時でもDCアンプとして動作するようになっています。
コンデンサによるカラレーションを更に少なくするために、各ユニットアンプの入力コンデンサを取り去ったICL方式を採用しています。
このためAUX、Tunerからの出力間のコンデンサは1個のみです。
入力は超ローノイズトランジスタを差動プッシュプルで構成し、NFループの低インピーダンス化と相まって-150dBVの低入力換算雑音レベルを実現しています。またどんなMCカートリッジでもクリッピングを発生しない広いダイナミックレンジを確保しています。
また、コンデンサを持たないため、コンデンサによる色付けがありません。
ヘッドアンプは2本アーム使用時にも容易に適応できるよう、DISC1、2いずれの入力に対してもスイッチ一つで簡単に切り替えられるようになっています。
イコライザーアンプは、ファイナルトランジスタの電流を大きくしてA級動作にし、出力インピーダンスを下げ、これによってNFループも低インピーダンス化し差動入力回路で発生する雑音を大幅に低減しています。
電源トランスにはCIコアを採用した高能率・低リーケージ・フラックス型を採用しています。
このCIタイプのコアは負荷変動の激しい家庭用電源の柱状トランスに使われている形と同じで、巻線を2分割バランス形にしているので、リーケージ・フラックスも少なく効率が良く変動率も優れています。
トーンコントロール機能の拡大を計りターンオーバー切替スイッチを搭載しています。
これによりBassは200Hz、500Hz、Trebleは2kHz、7kHzを選べるようになっています。
可変方法は11接点ロータリースイッチで行い、ステップの変化を正確に保つ事が出来ます。
また、トーンコントロールON/OFFスイッチも搭載しています。
低音量再生時の聴感を補正し、エネルギーバランスを整えるラウドネスコンペンセータースイッチを搭載しています。
再生レベルやリスニングルームの特性に応じて3種類のカーブを選ぶ事が出来ます。
17Hz、12dB/octのサブソニックフィルターを搭載しています。
ON時の音質を重視し、ハイレベルアンプの入力能動素子を活用し、能動素子を追加すること無くCRの追加のみでアクティブフィルターを形成しており、音質劣化を抑えています。
出力メーターを搭載しており、対数圧縮型ピーク指示で出力を直読できます。
レコードのスタートポイントを探し出すときに便利な-20dBのアッテネータースイッチや、DISC入力インピーダンス切替スイッチ、テープレコーダーを使用しないときに録音出力回路を切り、歪の発生を防止するスイッチ、プリアンプとパワーアンプを独立させて使用するセパレートスイッチ等役立つ機能が搭載されています。
別売りのウッドケースがあります。
機種の定格
型式 | ステレオプリメインアンプ | ||||||
定格出力(High Level Input、 両ch動作時、20Hz~20kHz、 歪率0.02%以下) |
4Ω負荷:180W/ch 8Ω負荷:130W/ch 16Ω負荷:65W/ch |
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高調波歪率(20Hz~20kHz間) | High Level input→output:0.02%以下(定格出力時) High Level input→Pre out:0.005%以下(定格出力時) DISC(Head Amp:off)→Tape Rec out:0.005%以下(6V出力時) DISC(Head Amp:on)→Tape Rec out:0.01%以下(2V出力時) |
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IM歪率 | 0.01%以下(High Level Input、定格出力時) | ||||||
周波数特性 | High Level Input:20Hz~20000Hz +0 -0.2dB DISC Input:20Hz~20000Hz +0.2 -0.2dB |
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ダンピングファクター | 80(8Ω負荷、40Hz) | ||||||
定格入力/入力インピーダンス | DISC1(Head Amp:OFF):2.5mV/100、47k、82k、150kΩ DISC1(Head Amp:ON):0.125mV/100Ω DISC2(Head Amp:OFF):2.5mV/47kΩ DISC2(Head Amp:ON):0.125mV/100Ω High Level Input:160mV/47kΩ Main Input:1.3V/47kΩ |
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DISC最大入力(歪率0.005%、1000Hz) | Head Amp OFF:300mVrms Head Amp ON:15mVrms |
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定格出力/出力インピーダンス | Pre Output:1.3V/200Ω Tape Rec Output:160mV/200Ω(DISCの場合) Headphones:0.32V/適合インピーダンス4~32Ω |
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ゲイン | Main Input→Output:27.8dB High Level Input→Pre Output:18.4dB DISC Input(Head Amp:OFF)→Tape Rec Output:36dB DISC Input(Head Amp:ON)→Tape Rec Output:62dB |
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S/N / 入力換算雑音(入力ショート、 IHF-Aカーブ、定格入力時) |
Main Input:115dB/-112dBV High Level Input:100dB/-116dBV DISC Input(Head Amp:OFF):86dB/-138dBV DISC Input(Head Amp:ON):72dB/-150dBV |
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音量調整連動誤差 | 1dB以内 | ||||||
トーンコントロール |
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ラウドネスコンペンセーター | COMP1:+6dB(50Hz) COMP2:+9dB(50Hz) COMP3:+10dB(50Hz)、+4dB(15kHz) (ボリュームコントロール、-30dBにて) |
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サブソニックフィルター | 17Hz、-12dB/oct | ||||||
アッテネーター | -20dB | ||||||
パワーメーター | 対数圧縮型ピークレベル指示 dB及び8Ω負荷時の出力直読 |
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負荷インピーダンス | 4~16Ω | ||||||
使用半導体 | 113Tr、18FET、2IC、39Di | ||||||
電源 | 100V、117V、220V、240V/50Hz、60Hz | ||||||
消費電力 | 無入力時:100W 8Ω負荷定格出力時:490W |
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外形寸法 | 幅445x高さ160(脚含む)x奥行370mm | ||||||
重量 | 20kg | ||||||
別売 | ウッドキャビネット A-8(¥15,000) |