オーディオの足跡

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C-280の画像
 解説 

デジタルオーディオディスクの登場に対応し、アナログ、デジタルの両ディスク再生を主目的に開発されたステレオプリアンプ。

回路構成は、アキュフェーズ伝統の全増幅段A級プッシュプルにカスコード方式を組み合わせ、NFBを施す前の素特性を改善しています。
カスコード接続はフィードバックが少なく、特に高域に於て良好な特性が得られます。また素子の動作限界までリニアリティが保たれ、歪が減少し、SN比が改善されるなどのメリットがあります。これをA級プッシュプルで構成することで、リニアリティ、歪特性をさらに改善させ、NFBを施す前の素特性を改善しています。

ユニットアンプの基本的な回路構成は共通で、ヘッドアンプ、イコライザーアンプ、ハイレベルアンプに共通の回路構成を採用しています。基本的に3段増幅で、8個の素子による入力のカスコード・プッシュプル差動増幅、4個の素子によるカスコード・プッシュプルが2段の合計3段で構成されています。
さらに、ICによるDCサーボ回路を搭載しており、出力に発生した直流を検知して入力に帰還し、DCドリフトの発生を防いでいます。このDCサーボ方式と緻密な設計によりDCドリフトの発生をほぼ皆無となっており、MC入力から出力の全信号系を直結にして色づけを排除しています。

電源部は、左右チャンネルに専用の電源トランスを使用し、電気的にも構造的にも完全に独立したモノ・コンストラクションとなっています。
また、広帯域にわたって低インピーダンス化を計るためにユニットアンプ毎に専用の定電圧電源を搭載し、合計6個のマルチプル・パワーサプライ方式となっています。さらにイコライザーアンプの定電圧電源部はカスコード差動アンプを構成し高利得を得て定電圧効果を上げています。
ユニットアンプと定電圧電源部は、厚手のアルミ・ハウジングに収納されて最短距離で結線されており、高域で電源インピーダンスが高くなるのを防止しています。

入力切替えやテープモニター等のファンクションのために信号経路を引き回すことで、高域の劣化や不安定要素が発生するのを防ぐため、C-280では、スイッチが必要な信号経路のその場所にリレーを設置し、これらのリレーをロジック回路で電子的にコントロールして切替えています。
この際に用いられるリレーには、オーディオ用、通信機用として特に開発された窒素ガス封入の密閉型リレーを採用しており、接点は金張り、及び銀パラジウム合金のクロスバー・ツイン方式で、低接点抵抗、高耐久性の質の高いものとなっています。
さらに、信頼性をより高めるために低レベルの信号経路は4回路並列で使用しています。

イコライザーアンプ部では厳選した素子を用いる事でさらに低ノイズ化を図っています。
コンデンサーには、オーディオ用として特に開発されたシルバード・マイカコンデンサーを採用しています。このマイカコンデンサーは、精選された高純度のマイカ片にスクリーン法によって銀薄膜を形成し、さらにガラスパターン(薄いガラス層)を印刷するという特殊な加工と構造になっています。これにより、コロナ放電開始電圧が高くなり、パルス的な高電圧にも安定して信号を通過させます。さらに音質に影響を与えるリード線の出し方は、銀膜のエッジ部分に直接接続される構造とすることで、劣化を防いでいます。

MCカートリッジ用のヘッドアンプは、専用フラットアンプをイコライザーアンプの前に挿入する方式を採用しています。
低雑音素子を入力回路に用いると同時にNFBループの低インピーダンス化を計り、抵抗雑音を大幅に減少させています。またDCサーボから発生するノイズの影響を避けるため、差動増幅の−側に直接帰還する方法ではなく、低電流源のベースに帰還しており、サーボ系のノイズの影響を抑えています。

様々なMCカートリッジに対応するため、MC入力インピーダンスを3段階に切替えが可能です。
また、低出力MCカートリッジのためにゲイン切替えスイッチも搭載しています。

600Ωバランス型の出力端子を搭載しています。

左右チャンネル合計6個のユニットアンプと定電圧電源部は厚手のアルミ・ハウジングに収納されています。
基板はネジで固定され、A級増幅の出力素子と定電圧電源の素子は放熱を兼ねてハウジングに密着して固定されており、誘導と振動による共振を防止しています。

2台のテープレコーダーを接続し、録音・再生・モニターが可能です。

3ステップ式ロータリー型アッテネーターを搭載しており、-20dB、-30dB、-∞の切り替えが可能です。

左右独立型のアッテネーター式レベルレベルコントロールを搭載しています。
0~-6dB間を0.5dBステップ、以後-14dBまで1dBステップで正確に調整が可能です。

10Hz以下のサブソニック・ノイズのみをカットするサブソニックフィルターを搭載しています。

トーンコントロールの代わりにコンペンセーターを搭載しています。
周波数特性をボリュームの位置によって自動補正しており、スイッチで2種類の特性を選ぶことが可能です。

高級ロジウム・メッキを施した入出力ジャックを採用しており、1μm厚で1億回の摺動にも耐える硬度により、優れた耐久性を得ています。

ゴールド調スクラッチ・ヘアラインのフロントパネルと、パーシモン・ウッドケースを採用しています。

機種の定格
型式 ステレオプリアンプ
周波数特性
Tuner、Line、Tape Play: 1.0Hz~500kHz +0 -3.0dB
20Hz~20kHz +0 -0.2dB
Disc:20Hz~20kHz ±0.2dB
全高調波歪率(新IHF) 0.005%(全ての入力端子にて、20Hz~20kHz)
入力感度/インピーダンス
(定格出力/新IHF出力0.5V)
Disc(Head amp off)MM:2.0mV/0.5mV/47kΩ
Disc(Head amp +26dB):0.1mV/0.025mV/10Ω、30Ω、100Ω
Disc(Head amp +32dB):0.05mV/0.0125mV/10Ω、30Ω、100Ω
Tuner、Line、Tape Play:126mV/31.5mV/20kΩ
定格出力/インピーダンス Output(unbalanced):2.0V/1.0Ω
Output(balanced):2.0V/600Ω
Tape rec:126mV/200Ω(Disc時)
S/N・入力換算雑音
入力ショート IHF-A補正
入力端子 定格入力S/N 入力換算雑音 EIA S/N
Disc(Head amp off)MM: 85dB -140dBV 82dB
Disc(Head amp +26dB): 72dB -152dBV 76dB
Disc(Head amp +32dB): 66dB -152dBV 76dB
Tuner、Line、Tape Play: 110dB -128dBV 88dB
最大出力レベル
(歪率0.005%、20Hz~20kHz)
Output(balanced):10.0V
Output(unbalanced):10.0V
Tape Rec:19.0V(AD時)
Disc最大入力電圧
(1kHz、歪率0.005%)
Disc(Head amp off):300mV
Disc(Head amp +26dB):15mV
Disc(Head amp +32dB):7.5mV
最小負荷インピーダンス Output(unbalanced):1kΩ
Tape Rec:10kΩ
ゲイン Tuner、Line、Tape Play→output:24dB
Tuner、Line、Tape Play→Tape rec output:0dB
Disc(Head amp off)MM→output:60dB
Disc(Head amp off)MM→Tape rec output:36dB
Head ampは+26dB、+32dB切替式
ラウドネスコンペンセーター
(音量調整-30dB)
1:+3dB(100Hz)
2:+8dB(100Hz)、+6dB(20kHz)
サブソニックフィルター 10Hz、-18dB/oct
アッテネーター -20dB、-30dB、-∞
使用半導体 トランジスタ:225個
FET:16個
IC:33個
ダイオード:167個
電源 AC100V/117V/220V/240V、50Hz/60Hz
消費電力 75W
外形寸法 幅468x高さ171x奥行396mm
重量 18.1kg